デヴィッド・スズキという人物を知っているでしょうか。
この方は,生物学者であり環境運動家でもあるカナダ人です。
いくつかの著書が出版されていますが,優しく書かれているのが,
「きみは地球だ」というタイトルの本です。
内容は,私たちの身の回りにある大気や水,土や火,生きものなどが,
私たち自身とどういう関係になっているのかをわかりやすく
解説しています。
私が,是非みなさんに読んで頂きたい本の一冊です。
おそらく,この本の考え方に未来の地球と人との関係の
ヒントがあると思います。
さて,今日は工事は無く,久しぶりに身体を休めることができました。
県行政からはなんの連絡もありません。
こちらから連絡をとっても何を考えているのかはっきりしないのです。
昨日は暖かな日和となり,海が凪いだので入ってみることにしました。
2月10日の夜明け前の強行砂入れ以来,海が荒れていたので
様子を確認できませんでした。
砂を投入した場所の真下の様子です。砂の大部分は岩の割れ目に落ちて
生きもの多大な被害はあまりありませんでした。
下の写真は砂を被ったソフトコーラルです。
このまま放置すると弱って死んでしまうでしょう。
砂は排除しました。排除の時軽くて目の細かい海砂の粒子が
舞い上がりました。
実際の埋め立てもこのようになるのです。
海の中なので,工事関係者も含め誰れ一人として生き埋めの
光景を見ることはありません。
このようなことが,今まで繰り返されてきたのです。
海中は透明度も良く,太陽の光がサンサンと海底を照らしています。
生きものたちがたくさん岩の表面に出ています。
ヤドカリの旦那はお昼寝中です。足が見えます。
別のヤドカリは,海藻の上で食事中です。
海底では,小さなヤドカリが屋移りの最中です。
新しい殻をいじくり回し,穴がほげていないか,大きさは身体に
合うかなど,慎重に調べています。
藻類はいきいきとしています。
イカエギを拾いました。よく見ると有孔虫(ゆうこうちゅう)が
付いています。有孔虫の種類はたくさんあるそうです。
私が撮影したのは大きさが1~2ミリぐらいのものです。
沖縄の海岸で見つけることができる星砂や太陽の砂は,この
生きものが死んで殻だけが打ち上がったものです。
貝殻にも付いています。
こちらは,ゼニイシという有孔虫の仲間です。
大きさは1センチほどでした。
左が生きているサンゴ,右が死んだサンゴです。
生と死が同居しています。
死んだサンゴの上には,やがて新しいサンゴが芽生え,それが数千年も
繰り返し,変質して石灰質の硬い岩盤となっていきます。
これがサンゴ礁と呼ばれるものです。
単体のものをサンゴ,サンゴ礁とは地形のことなのです。
ですから,コンクリートのテトラポットに移植したサンゴが
たとえ増殖したとしても,それをサンゴ礁とは言えません。
サンゴ礁は,起伏の多い岩盤で表層は劣化していて生きものたちの
住処となっています。生きものにとっては,このような足場になる
ものが必要で,コンクリートでは住み着くことができないのです。
言い換えるなら,生きものとサンゴが一緒に生きているのが
サンゴ礁です。サンゴだけがコンクリートの上で生きていても,
生きものは集まって来ないのです。
この辺りの認識が行政にはありません。
また,一般の方々もこのような行政の施策に納得して,サンゴは復活
しているから大丈夫だと思いこんでしまいます。
大きなシャコガイを見つけました。
普通の海岸では取り尽くされていて私は見たことがありません。
しかし,東江でも,そんなにいるわけではありません。
貴重な生きものになりつつあるのかもしれません。
それにしても,自然界の美は信じられないぐらい繊細です。
そして美しい。
サンゴも小さなポリプを開いていました。
今から砂が投入される海域には上記の写真の生きものたちが
生きています。
海上には,砂の汚れが工事の海域外へ流れ出るのを防ぐために
汚濁防止膜が設置されています。
これは,外から見ただけでは,ただオレンジ色の長い浮きが浮かんでいる
ように見えますが,実は,その下には海底まで白い膜が下ろされている
のです。ちょうど舞台の幕のようにです。
自然の海に巨大な膜が延々と続いている光景は不気味です。
まるで海の神様から見えないようにしておいて,こっそりと
埋めてしまうように見えてなりません。
明日は,どうなるのでしょうか。
東江の海の生きものたちの命は人間の手中に握られているのです。
生きものと人間の関係は,地球という大きな視野の中で,
人間本位の生き方を見直さなければ,やがて人類の存続の危機へと
つながっていくことは間違えありません。
・ツバルでは海水面が上昇し,大潮の満潮では集落が冠水します。
・生きもの生息の北限が変化しています。県魚のグルクンは福岡沖で
採れています。
・各地で大洪水や干ばつが多発しています。
日本の人々が,身近な変化を意識したときには,既に回復不可能な
ポイントを越えているかもしれません。
そうならないためにも,今一度立ち止まり,私たち自身の身の回りの
生活から見直してみたいものです。私も反省です。
私たちの要望は,防災や護岸工法の学者,サンゴや生きものの博士
など様々な立場の人の意見の発言と聴講の場を設けてほしいことです。
当初から文書で要望していますが,実現していません。
いろいろな意見の中から,知恵が出ると思います。
対話から始めなければ進展は無いと思うのです。
もし,私たちに賛同して頂けるならば,恐縮ですが,以下の行政機関に
会議の場を設けるようにお願いしてください。
また,なんなりと思うところを伝えてみてください。
・沖縄県土木建築部海岸防災課
電話 098-866-2410
Fax:098-860-3164
mail aa065300@pref.okinawa.lg.jp
・沖縄県北部土木事務所
電話0980-53-1255
FAX:0980-53-5804
mail xx060011@pref.okinawa.lg.jp