久高島の続きのお話です。
集落の中をのんびりと歩いているとりっぱな石積みの塀に出逢いました。
出入り口の奥には,りっぱな「ヒンプン」があります。
戸井昌造著「沖縄絵本」の中に「ヒンプン」の説明がありますので
引用してみたいと思います。
「…ヒンプンという衝立てが,風よけと目かくしの役目を果たし,
昔は身分の高い人は右から,低い人は左からと出入りがきまっていた…。」
この石積みの塀と赤瓦の屋根とシーサー。とっても気に入ってしまい
何枚かの写真を撮りました。帰ってから写真の整理中に先ほど紹介した
「戸井昌造」の「沖縄絵本」の中の挿絵に同じ場所のスケッチを見つけ
ました。「沖縄絵本」はとても人間的で心優く力強い文章とスケッチで
綴られている本です。既に他界した戸井さんが同じ場所に足を止めたことに
感慨をおぼえました。
しばらく歩くと集落のはずれに来ました。
海へ行ってみることにしました。
北の方向へ土の道を歩きます。道の脇は畑です。農夫が手入れをしています。
挨拶をすると頭巾の下から日焼けした笑顔がこぼれます。
集落から僅かなところに海岸があるようです。
ちょうど海に至る小径の片隅にこの島の小学生たちが作ったのか
かわいらしい魚の標識がありました。
「ピザ浜」と書いてあります。さっそく浜に下りてみます。
浜は白いサンゴのかけらで出来ています。しばらく座ってぼんやりしてみます。
沖を船が通過していきます。寝そべって日射しを顔に浴びていると,どこからか
鳥のさえずりが聞こえます。そろりと頭を持ち上げ,視線を音の方向へ向けます。
渚に茶色の鳥が見えました。写真を1枚撮りましたが気配に気づかれて逃げて
しまいました。
海は太陽の光線をいっぱい浴びてきらきらと光っています。
もう少し北側に五穀の壺が流れ着いたとされる「いしき浜」があります。
そこまで行ってみることにしました。
更に土の道を北に向かって歩きます。土の道のなんと心地よいことか。
15分ほど歩いたでしょうか。やはり浜に至る小径の角に「いしき浜」と
書かれた魚の標識がありました。
真っ白いさらさらした砂です。この浜は「ニラーハナー」への拝所になっている
聖域です。心も清められる気がします。
岩に腰掛けて海をながめます。日射しが心地よく降りそそぎます。
しばらく「ニラーハナー」への思いをはせます。
いつまでもこうしていたいと思いました。