泡瀬干潟の観察会

有光智彦

2008年10月29日 09:54

10月26日に泡瀬干潟の観察会に行って来ました。
泡瀬干潟は,野鳥やそこに生息する海の生きもの,そして
人間にとって大きな資源を与え続けてきました。
たくさんの海産物が捕れます。
貝やタコ,とってもとっても出てくる。
そういうところが泡瀬干潟のようです。



リーダーから泡瀬の概略を聞いた後,干潟に出ました。
遠くまで引いています。
たくさんの鳥類が砂の中からゴカイなどの生きものを
探しだし補食しています。
浜辺にはいろいろな二枚貝の貝殻が見付けられます。
ゴロ石の浜を抜け,左にミナミコメツキガニの食事跡
(その日の食事時間は終わったようで,砂の上に砂だんごの
食べかすを残して砂の中に潜り込んでいるとの説明)
を見て,沖に広がる広大な砂州の上に立ちます。
すばらしい空間です。
元気が出ます。
子どもたちは,リーダーのかけ声で競争です。「ようーいドン!」
大人も子どもも心が広がり自然と楽しくなる。



砂州の上には,カワラ貝(沖縄の赤瓦のような模様の入った美しい貝)
の貝殻が大空に向かってポカーンと口を開けて転がっています。
いつまでも,ここに居たい気持ちになりました。
しかし,沖の直ぐ目の前には,ブルドーザーやパワーシャベルの
重機がうなりをあげて工事をしている。
とても悲しい光景。



人間の行為によって他の生きものは,難儀をしている。
迷惑をかけている。
でもそれは,人間の世界に倍返しになって,つけが戻ってくる。

昨年から始まった埋め立て工事で干潟は瀕死の重傷です。
大きな影響を受けています。
広大な範囲の埋め立てです。
おそらく泡瀬は死滅した海になると思います。
開発から外れたところが何の影響も受けずに
今までどおりの環境を保てるはずがありません。

私は福岡市に住んでいましたが,和白干潟を
埋め立てる前と後では,ものすごい変化が
ありました。今の和白干潟はほとんど死滅状態です。
その埋め立て地のほとんどが荒涼とした空き地です。
必要な開発であったのでしょうか。
その地域に昔からある自然全体は,お互いに機能し
通じ合って成り立っています。そのどれが欠けても
生態系は破壊されてしまうように思います。

今年,2008年は「国際サンゴ年」です。
日本国は,その年に泡瀬のサンゴ礁の海域を埋め立てて
います。恐ろしいことです。そして恥ずかしいことだと思います。
小さな沖縄島で本土並みの開発をやっている。
そのうち,島の廻りに自然の海岸がなくなり
人工ビーチばかりとなるのでしょうか。
そんなものはいらないと言いたい。

人間は,人工物の中ばかりでは,正常な精神状態を保持できない。
殺人やおかしな事件ばかりが都市で起きている。

草や花,海や空,星空や土の地面,花の香り,虫の声
鳥の声,雨の匂い,土の匂い……。
自然の中に住んで人間らしい判断ができると思います。
不必要な欲求がなくなり,食欲も適正になる。
本来人間は,そうした環境に生きるように出来ているのだと
私は思います。

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