泡瀬干潟の埋め立てが今月15日から始まりましたが,
2009年1月27日現在の泡瀬の海中の様子をお伝えします。
撮影場所は埋め立て現場から東へ1.5キロメートルの位置にある
「ヒメマツミドリイシ」のサンゴ群落です。
ここは,ちょうど一ヶ月前に撮影した場所です。
このブログの12月に一ヶ月前の画像をアップしています。
驚いたことに,僅か一ヶ月の間にサンゴがかなり死んでいました。
このままでは,一年以内に,この群落全てのサンゴが死滅するかも
しれません。
現在,埋め立てをしている区域は,ここ以上にサンゴが群生している
場所なのです。泡瀬に残るサンゴ礁は,無くなりつつあります。
死滅したサンゴの上を群れで泳ぐ空色の「デバスズメダイ」の群れは
とても哀れです。
海中の透明度はあいかわらず悪い。潮流は,湾全体を回っているので
埋め立て工事や航路浚渫工事による影響が顕著に表れているとみて
いいでしょう。日光は,サンゴの生育に必要不可欠なエネルギーです。
海中に漂う砂塵の影響で常に透明度が悪く日光が十分に射し込まない。
また,砂塵がサンゴに降り積もりダメージを与え続けている。
これでは,死滅しても不思議はないでしょう。
画像の灰色のところが死滅して時間が経過した部分,
白いところが死んだばかりの部分,
薄桃色の部分が生きているサンゴです。
この三色が入り乱れていますが,白い部分が一ヶ月前に比べ
増えているのです。
おそらく,このまま工事を続行すれば,泡瀬全体の生態系が完全に
崩れ去り,ヘドロが漂う死の海となるでしょう。
我々が排出した汚れた海水を常に浄化しているのは,海底に生きる
貝であり,ゴカイの仲間であるからです。
彼らが死滅するのも時間の問題です。
美しい沖縄の海がどんどん無くなっていく。泡瀬干潟が面する中城湾のほぼ
全域は護岸工事が行われ,埋め立てされて自然の海岸が残っている場所は
もうありません。泡瀬干潟が貴重な場所だったのです。
取り返しの着かないことに成る前に工事を今すぐ中止し,再度検討が
成されるべきです。
現在埋め立てが進められている第一期工事区画が完成すれば
工事はこれで終わって自然環境は維持されると思ったら大間違えです。
そこに立てられたホテルやレジャー施設から排出される下水は絶えず
泡瀬干潟に放出されます。浄化施設り処理能力は100%ではありません。
30%は処理しきれず,そのまま海へ流されるのです。
第一期工事区画の護岸が造られてからは潮の流れが変化し既に
生態系に大きく影響を与えています。
自然が何千年もの間造り上げてきた自然を僅か数年でがれきの山と
してしまう人間の愚かさ。
他の生きものの命の尊さも考えずに抗議できない彼らを一方的に
殺す人間の愚かさ。
昨年来島した妹が言っていました。
「沖縄って空から見ると埋め立て地ばかりだね」と。
西海岸はリゾートホテルと人工ビーチ。
東海岸もコンクリートの護岸と工場,埋め立て地。
南部は,ゴルフ場があちこちにあり,生活の水だった湧き水は農薬(除草剤)で
汚染され飲めません。
北部は,米軍ヘリ基地と演習場。
沖縄は,ほんとうに自然が豊かな島なのでしょうか。
本土で生活していた頃,沖縄は自然豊な島だと思っていました。
今,島で生活してみて,それが間違えだったと知りました。
自然の残っている場所はほとんどありません。
自然を求めてくる人はがっかりすることでしょう。
それでも本土よりは自然が残っていますが。
それも,泡瀬のような豊かな自然を破壊してしまう国,県,市の
方針では,この先残された自然は守れないでしょう。
第一期工事区画の陸側のゲートからは,毎日毎日,朝から晩まで
ダンプカーが泥と石を運び入れています。すごい数です!!。
今しかない。という勢いです。
このダンプ,一杯一杯の土砂が魚やヤドカリやサンゴを生き埋めにして
毎日何千,何万という「命」を殺しているのです。
埋め立ての現場の海中を見れば逃げまどう彼らの悲鳴が聞こえるはずです。
下の画像は泡瀬の海中で撮影した生きものたちです。
汚れた水の中でも,暮らしています。
人間の様に,泡瀬が嫌いだから名護に引っ越しすることはできないのですから。
次第に失われていく泡瀬の海。破壊されたらもう二度と美しい海には戻らない。
私たちの子孫は,ヘドロの海を見てどう思うでしょうか。
先人たちの仕業をどう評価するのでしょうか。