泡瀬干潟・2012.3.11

有光智彦

2012年03月13日 17:34

今日は東北の地震・津波災害からちょうど1年です。
潮は大潮で午後の干潮は普段引かないところまで引きます。
広大な干潟を散策するのですが、もし、地震があり津波が発生したらどうしようかと
考えてしまいました。「災害は忘れた頃にやって来る」この言葉は確か子どもの頃に
よく聞いたあい言葉でした。しかし、畏れては行動できませんから、その心づもりを
してから海へ出掛けました。



天気は曇り、内地では雪、沖縄も北風が吹きとても寒く感じました。
2時間ぐらいの間にさまざまな生きものと出逢いました。

曇っているせいか巻き貝が砂の上を移動しています。
背負っている貝殻には砂が付いています。その砂を拡大して撮影してみると
いろいろな生きものの遺骸が混じっていることに気づきます。



美しい螺旋状のは有孔虫の仲間の骨格でしょうか。
肉眼では見えないほど小さなものです。
干潟の砂を拡大して写したものが次ぎの写真です。



生きものたちの遺骸がたくさん混じっていることがわかります。
この写真の撮影範囲はわずか数㎝ですから、干潟全体では天文学的な
数字になることでしょう。

生きた二枚貝も見つかります。必ずしも砂の中に埋まっているとは限らないようで
砂上に出ています。



フクロノリ(海藻の仲間)が転がっています。



巻き貝の殻も落ちています。



細い葉の海草やイソスギナなどの海藻の中に白い貝殻がありました。
透明な海水がひたひたと辺りを潤しています。



近くには海草の密生している場所がありました。海草の回りにはたくさんの
生きものたちが棲んでいるはずです。



視線を遠方に移すと今日も埋め立て工事が行われていました。
震災から1年の日、教訓も生かすことなく沿岸部に埋め立て地を造っています。
沖縄県も明和の大津波など数百年単位で大津波の被害をうけているのですが
理解に苦しみます。



絶滅危惧種のクビレミドロという海藻の仲間です。世界中で沖縄にしか生息
していません。拡大してみると森のように見えます。



天然のもずくがありました。養殖のに比べて太く、ぬめぬめが強いようです。
その場で生食してみました。潮がちょうどいい調味料となります。



5㎜ほどの巻き貝を見つけたので近づくと身体をくねらせてスイスイと
泳いで逃げ回りました。どのようにして泳いでいるのかははっきりわかりません
でしたが、捕食者などの危険から逃れる生きものの知恵には驚かされます。



1㎝ぐらいの小さなエビの仲間も見つけました。



鳥の群れが猛スピードで干潟の上を旋回しています。



この日、海からお借りしてきた貝殻たちです。カワラガイなどたくさんの種類が
あります。貝の研究者によると、泡瀬干潟には360種類の貝類が生息している
そうです。



何度もこの干潟に足を運んでいますが、行くたびに初めて出逢う生きものがいます。

生きものたちの生きている場所、生命の海、山も川も同じです。




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