先日、1月14日木曜日に宜野湾市にある「沖縄コンベンションセンター会議棟」で
「サンゴのちゅら海大会」と称して海のイベントが行われました。
平日の開催でしたが、100人近い人々が集いました。
午後2時から海や自然を守っている市民グループや写真家のパネル展示、
6時からは、「しかたに自然案内」の鹿谷麻夕さんの司会進行で
シンポジウムが始まりました。
各発表者のお話の前に、おもろさうしの第15代王府おもろ伝承者の
安仁屋真昭さんによるおもろさうしの歌唱が厳かにとり行われました。
歌唱は2つ歌われ、うち一つは航海の安全を祈願する歌でした。
首里王朝の時代、安仁屋さんのご先祖様が外国へ向け出港する船に
この歌を歌い安全祈願をしていたのでしょうか。ホールいっぱいに広がる
声はエネルギーの波となりそれぞれの心に響きました。
シンポジウムは5人の方々が登壇し、それぞれの立場から沖縄の海の
ことを熱く話されました。発表者の一人目は、「日本自然保護協会・自然保護室」
の主任であり、理学博士の安部真理子さんが、昨年、沖縄本島の各海域で
実施されたサンゴの世界統一規格である調査(リーフチェック)の結果発表を行い、
続いて東海岸の海を知り尽くした「ダイビングプロチームマリンスペース」代表の
玉栄将幸さんが浮原島周辺の世界遺産に相当するサンゴの海を紹介されました。
「琉球大学・理学部・海洋自然科学科」准教授ジェイムズ・デイビス・ライマーさんは、
ご専門の分類学や系統学のお話を中心にれ、現在発見されている種はごく一部であり、
まだ発見されていない新種が膨大な数になる可能性を語られました。
もずくで有名な「イトサン株式会社」代表取締役の大城忠さんは、
沖縄の漁師さんたちの想い、今残っている海を大切にすること、
もずくのお話と生産、これからの産業としての可能性について話され、
最後の琉球大学・熱帯生物圏研究センター・瀬底研究施設技術専門職員であり、
沖縄県サンゴ礁保全推進協議会会長の中野義勝さんは、
「サンゴ礁の社会的価値を考える」というタイトルで話され、人(社会)とサンゴ礁の関係を
ユニークな事例を用い、多面的にとらえたお話をされました。
5人のお話は、それぞれが各分野のエキスパートだからこそ語れる内容で、
沖縄の海や自然のすばらしさを再認識し、人々と自然の関係について
広い視点から考えるきっかけをいただきました。また、各発表者の方々の
お話の内容から誠実で謙虚な人柄がうかがえ、素直にお話を拝聴することが
出来ました。
最後は、聴講者からの質問を発表者が応える形で進められ、
また別の視点からのお話を聴くこともできました。これからの活動につながる
有意義なシンポジウムだったと思います。