今回はどうしても以前から書きたかったことを書こうと思います。
それは,「自然保護」についてです。
「自然保護」だけでは抽象的すぎますね。
具体的には,沖縄本島の「辺野古」の米軍基地建設に伴う埋め立て,
ヤンバルの米軍ヘリパッド建設,本島各地域の干潟の埋め立てについてです。
これらの背景はとても複雑で,また政治的なことや,それぞれ各人の生活に
直接関わってくることがあると思います。
「賛成」と「反対」の対局的な問いに対する答えは自分の中で,まだ結論が
出ていません。
しかしながら,私は,海の生き物や干潟の生き物,昆虫や動物との関係に
まるで兄弟のような気持ちを感じるのです。このことだけは,どうしても
曲げることのできない本質です。
今回,掲載する写真は,昨年の11月に「辺野古」沖の海中と辺野古の干潟
で撮影したものです。当日は海上が悪天候で時化ていて約40分の素潜りしか
できませんでしたが,ウミヘビなどの生き物に出逢うことができました。
「辺野古」の海は豊かな海草がゆらめく美しい海です。
おそらくジュゴンも豊富な海草を目当てに生息しているのでしょうか。
この海を無くして,どうして私たちがほんとうの豊さを獲得できるのでしょうか。
最初の写真は沖のリーフ付近で撮影した海中の様子です。
手ぶれをしていますが,たくさんの魚が生息していることがわかると思います。
外洋の潮が常時流れているため,イノー(リーフの内側の浅い海のこと)の
中で見られる生き物とは多少種類が違うようです。
また,透明度はとても良い状態です。
次の写真は,ウミヘビです。彼らは,空気を吸うために時々海面に浮上します。
空気を補給すると再び海底に戻り蛇行しながら,岩などの下などの獲物を
もとめて移動していきます。
目の前を通過していくので,少し不気味ですが,何もしません。
おとなしい生き物です。
潮に流され続けた海上を離れ,潮の引いた干潟を歩いてみました。
干潟の上は,すごい数の「ミナミコメツキガニ」で覆われていました。
彼らを観察していると,動きがとても緩慢です。カラスや他の動物にすぐ補食
されてしまいそうです。とても,環境に左右される弱い生物のように
私には見えました。
近づくと,ゆっくりとマイペースで逃げますが,しばらく追いかけると,
回転しながら器用に砂の中に隠れていきます。ところが,頭上に砂をかけない
ので,上から丸見えでこれで,とても隠れたとはいいがたい仕上げです。
ても,とっても愛嬌のあるかわいい生き物です。
時間をかけて彼らと時を共有すると自然に心が癒されていくのを感じます。
親しみもわいてきます。私たちの生態系の一員であることを深く自覚します。
私も福岡市で時間に追われた生活をしています。
みんな,それぞれが生きることに精一杯です。
でも,時には自ら海や山,干潟のフィールドへ足を運び,直接彼らと接して
みてほしいと思うのです。けっして本やテレビの映像からは理解できない
生命の息吹を感じると思います。
その心が「自然の保護」という考え方に通じていくのかもしれません。