白保に建設中の新石垣空港の現在を見て来ました。
前回は,空港近くの海中の状況をお伝えしました。
今回は,山の上から見た空港建設の状況をお伝えします。
ちょうど近くにカラ岳という小高い山があります。
地元の人に聞くと「ハブが出るかもよ!」と言われましたが,
登ってみることにしました。
山頂へ続く道は,幸い草を刈ってあり,上まで道が続いていました。
途中には,見たことのない草花が咲いています。
しばらく撮影を繰り返しゆっくりと山を登ります。
頂上は,ススキのような草が風になびいています。
とてもさわやかです。ここなら白保周辺の様子がよくわかります。
空港は,滑走路の部分がはっきりわかるぐらい出来ていました。
ターミナルは,出来ておらず,造成工事の途中でした。
空港が建設されている場所は,元ゴルフ場とのことでした。
この空港は,海を埋め立てませんが,白保の海からほんのわずかな
距離にあります。大雨が降ると造成中の赤土が流れ出し,おそらく
海に流入するのではないでしょうか。人工的な防護処置を行っても
自然の猛威を止めることは不可能です。
今後の白保の海がどう変化していくのかとても心配になります。
かつて白保の集落は賛成派と反対派に二分し,対立した時期が
あったそうです。今は,仲直りしているとのこと。
小さな村が半分に分かれて対立するのは,大変なことだとでしょう。
現在は,空港建設が決定し,この論争も一段落しているようですが
しこりがのこらなかったのでしょうか。
当時のことを知りたくて,中村征夫著・写真集「SHIRAHO」にも
登場したおじーを訪ねました。もう25年以上前のことですからご健在か
どうかと心配しましたが,村の人から「知っているよ,まだまだ大丈夫よ,
昔から,くろんぼおじーと呼ばれているよ!」とご自宅を教えてもらいました。
おじーの名は「仲宗根 敏夫」さん。すでに80歳を超えているはずです。
訪ねていくと,裏庭で大工をしているのか,何か作っている様子。
「はーい!」と言って迎えてくれました。
事情を説明すると,まあお上がりと言って「一番座」に上げてくれました。
部屋の壁には,何十年も前の白保のポスターや当時撮影してもらった
ご自身の顔写真などがたくさん貼ってありました。そのどれもが,色あせて
いましたが,大切なもののようでした。
おじーは,当時の写真集(現在活躍中の有名な写真家の方々が若い頃,おじーの
写真をたくさん撮っている)を楽しそうに見せてくれました。
その話の楽しそうなこと。おじーの話は当時の論争のことよりも,「白保の海」の
ことが大好きでしょうがないといった感じでした。
白保の海のことを沢山話してくれました。
お話を聴いていると,どんどん話に引き込まれていきます。
ご夫婦とも健在で,そのほか居間には,電気ストーブの前に子猫3匹が丸くなって
寝ていました。くろんぼおじーは,猫専用の棒で「これこれ猫さんよ!」と言いながら
子猫をちょんちょんとつついていましたが,おばーが,それを見て「あんたは,
まあ~生きものをいじめてさぁ~!」と言って怒っておりました。笑。
一番素敵だったのが,おじーの目です。なんと,宝石のようにキラキラと
光っているのです。海と関わる人は,目がきれいな人が多いように思います。
おじーは現在,足を悪くして海へ漁には出ていないということですが,
年の暮れには,魚を捕りに行くと言っていました。
短い時間でしたが,とても大切な出逢いであったと思っています。
ただ私は,くろんぼおじーは一言も言わなかったけれど,言葉では伝えきれない
今現在の白保の海への思いを痛いほど感じ取りました。
おそらく,それは,空港建設,空港周辺の開発などにより,変わっていく
白保の海の行く末を心配しているのでしょう。
白保の空港建設は始まりました。私も,白保の海が心配です。
これから機会あるごとに「その後の白保」を観察していこうと思います。