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現在,那覇空港の沖合増設により,豊かなサンゴ礁の海を
埋め立てる計画があります。
アセスの方法書の閲覧が1ヶ月あり,その後方法書に対する
意見書を募集した。
私も,短いながら思うところを記し意見を提出しました。
先日,この海岸のことを多くのみなさんに知って貰うために
撮影に行ってきましたので見てください。
空港は数キロにも及ぶ巨大な施設です。
海岸に沿って現在の滑走路が伸びています。
埋め立てが予定されている海はこの真ん前の海です。
滑走路は海上に造る計画ですが,ここの海を完全に殺すだけの
規模で行われます。新奄美空港のようにです。
この海岸の名前は大嶺海岸(おおみねかいがん)。
海岸に立ち入るには糸満側に位置する瀬長島(せながじま)に
車を停めます。瀬長島は道で陸続きです。車は駐車場だけではなく,
島内の道ばたに適当に停められます。
空港側に車を停め海岸全体を見渡すと広大な干潟が広がっています。
海岸は空港と平行にあるので離発着の飛行機を見ることができます。
今回私が歩いて撮影した部分は全体の1/4弱です。それでも,
3時間は見て歩きました。
瀬長島から海岸に突き出た大嶺崎まで直線距離で約2キロあります。
干潮の大潮をねらって立ち入らねばなりません。
瀬長島の直ぐ横にはカニの穴がたくさんあります。
もうこんなところにも生きものが無数に住んでいるのです。
しばらく古いサンゴの破片が堆積した部分を歩きます。
このサンゴの破片は茶色くなっているので全体を見回しても
きれいな海岸だとは見えないかもしれません。
しかし,それは先入観があるだけで,ところどころに砂州があり,
海草が生え,生きものがいます。
カニとハゼが何か会話しています(笑い)
ヤドカリの旦那は只今天日で甲羅干しです。
背負っている貝殻に海藻などが付かないように太陽の天日で乾燥させて
いるのでしょうか。殻の中を覗くと白いハサミが見えます,どうやらお昼寝
している様子です。
また,二枚貝などの干潟の貝殻がみつかります。
カワラガイという,まるで沖縄の赤瓦の屋根のように美しい模様の
二枚貝も見つかります。
貝は砂の中で生活をしているので,地上から生きた貝を発見することは
希です。地表にころがっているのは貝殻です。
でも,その貝殻を集めれば,この海にどれだけ貝類が住んでいるのかが
わかります。
誰かさんのお家です。どんな生きものが住んでいるのでしょうか。
上手に造ってあります。
海草の一種ウミヒルモが広がっています。ウミヒルモはジュゴンの
大好物です。
干潟は広大です。
サンゴの古い痕跡もあります。何千年か前のものでしょうか,
それはわかりませんが,この場所に確かに存在した証です。
この海の太古からの歴史があちらこちらに刻まれているのです。
潮が満ち始めました。
均一な平坦地ですから潮は早いペースで進みます。
でも慌てるほどではありません。
私も潮と一緒に空港の護岸を目指します。
駐車場までは護岸を伝って帰ります。
ミナミトビハゼもいました。
満ちた海底に無数の穴が開いています。生きものが住んでいる
のです。ゴカイの穴でしょうか。
貝,ゴカイ,魚,鳥,微細な植物プランクトンや海草など様々な生きものと
砂州,泥場,海草藻場,サンゴ礁…様々な環境が一つになってバランスが
とれています。そのどこか一カ所でも失われれば,瞬く間に生態系は
崩れていきます。熱帯の海は多様性に富んでいますが,脆くもあるのです。
アコヤガイでしょうか,七色の光沢を放っています。
沖縄の自然崇拝は様々なものに神様が宿っていると考えます。
そして生命への畏敬をもっています。
その心が沖縄の命だと私は思います。
その心を失わなければ,何が大切なのかを見失うことはありません。
時たま飛行機が離陸します。
機械文明の象徴ですが,大空に舞い上がる機体を見ていると
空に羽ばたきたくなる衝動にかられます。
民間の飛行機に混じって自衛隊の戦闘機が訓練のため離陸します。
実はこの間,民間機は待っておかないとならないのです。
けっこう頻繁に飛び立ちます。
自衛隊の事はアセスの方法書に一言も触れられていないといことが
9月25日沖縄タイムス新聞の論壇に投稿(沖縄大学教授・
環境アセスメント学会評議員・桜井国俊氏)されていました。
さらに,自衛隊使用をやめてもらって普通の空港にすれば,
そもそも沖縄観光の源泉であるサンゴの海の上に新たな滑走路を造る
とという自己矛盾を避けられる。われわれは,まずはこの点を真剣に
考えるべきではなかろうか。と記事は続いていました。
浦添の貴重な自然海岸を埋め立てて渋滞緩和と流通利便の名目で
道路建設が進められていますが,隣接する米軍基地の道路を使わせて
もらえば何も埋める必要が無かったのにという意見もあります。
出来る限りの手を尽くし,また貴重な自然を破壊してまで造らなければ
ならないかを真剣に考えなければならないと思います。
また,アセスへの意見書などを提出する場合,一般的ではないように
思います。県民市民がいったいどう考えているのか現状をわかりやすく
公平に説明し,広く容易に意見を聞く場を設けないと,県民や市民の
財産,また大局的には地球の財産である今ある自然が知らぬ間に破壊
されるということになりかねないと思います。
この大嶺海岸の自然の豊かさをどれだけの県民が知っているか
わかりません。この海岸の豊かさを知れば,ここを埋めるなど
論外であることが容易に理解できるでしょう。
その意味も込めて写真で公開します。
今後も足を運びこの海岸のことを知って貰う活動を続けます。