ほんとうの海からの便り

有光智彦

2012年07月02日 00:14

沖縄本島南部にある人工ビーチの一つに出掛けました。
梅雨明けの空は、鮮やかな青い空です。
海の色は、薄い青色やエメラルドグリーンに見えます。
人工ビーチは、サンゴ礁由来の白い砂であるため海の色が引き立ちます。
でも、その砂は本来その土地に存在しないもので、沖縄近海の海底から
船で採取し持ってきたものなのです。
美しく見えても、背後にある現実をなかなか知り得ないものです。

よそから持ってきたその砂にはさまざまな生きものたちの遺骸も混じっています。
元々の海で生きていて採取の時に死んだものなのか、それとも生命を終えた
生きものたちの遺骸が降り積もっていたものなかはわかりません。
中には白くて小さな貝殻も見つかりますが、土地の海のものではないのです。

ですが、いくら人工ビーチでも本物の海とつながっているので、
その海で生きて死んだ生きものたちの遺骸も浜辺に打ち上がっている
ものです。



潮の引いた浜辺にはさまざまな種類の海草が満潮線に沿って打ち上がって
いました。





また、よく見ると小さな巻き貝がたくさん見つかりました。
その貝殻は海草藻場に多く生息している巻き貝なのでしょうか。
巻き貝の大きさは2ミリ~5ミリぐらいです。



中には綺麗な貝殻もありました。
ベニシボリガイに似ています。



海の方を見ると海底が黒っぽく見えています。
海草藻場があるのでしょうか。



これらの貝殻や海草は本当の海からの便りです。
殺風景な人工ビーチに海の優しさを届けてくれています。

海草の間では小さなオカヤドカリたちがご飯を探していました。





浜辺を歩くときは足元をよく見て歩いてあげたいものです。

人工ビーチでは、生きもの姿をあまり見かけないので、こうして生きものたちの
営みが見られると、ほっとします。

人工ビーチに行くことがあれば、その土地の海からやって来た海の便りを探してみては
いかがでしょうか。
それらは、私たちにとても大切なことを伝えてくれているように思います。

次回は、その人工ビーチの隣にある自然の浜の様子をお伝えしたいと思います。


関連記事