2008年01月11日
久高島①
昨年12月初旬に久高島(くだかじま)を訪れました。
2度目の渡航となります。前回は海の美しさにひかれて訪ねたのですが,
今回は,書籍・比嘉康雄 著「日本人の魂の原郷沖縄久高島」を読んで
再び行ってみたくなったのです。
12月に観光でこの島を訪れる人はまばらです。渡船に乗るのは島の人たちばかりです。
観光シーズンではないせいか,どこか落ち着いた感じがします。
私は空いている前方の席に腰掛けました。
久高島の住人の皆さんは,後ろの席に乗っているようです。
その訳は船が港の外に出たときに分かりました。
船が波を越えるたびにドスンドスンと船首の船底が波にたたきつけられるからでした。
体に伝わる刺激を楽しみながら島に向かいます。
島の港は南側にあります。とても静かな港です。海はブルーに透けて見えます。
黒い隆起珊瑚の岩と緑の低木,それと青い海のコントラストが遙か昔の風情を心に刻み
ます。 港のスロープに現役のサバニが数隻置かれています。
船着き場から小高い丘を上がります。集落は大地の上にしっかり築かれています。
港のにぎわいを後に島民のみなさんと一緒に私も集落に向かいます。
今回は一番船で来ました。夕方の最終便まで島の中をゆっくり巡るつもりできたのです。
自分の心の柵を一つ残らずとっぱらい,バリアフリーの状態で島の自然を感じてみたい
そして,この島の魅力を写真でとらえてみたいと思いました。


集落の中は人もまばらです。ときどき猫さんに出逢います。三毛猫やとら猫,みんな警戒心が
なくとってものんびりとした性格のようです。




島内の撮影をするにあたり,まずこの島の記録写真をとり続けた比嘉康雄さんのことが知りた
くて集落の中心にあるお店のおばあさんに話を聴くことにしました。
おばあさんは,「撮影を始める前に近くの外間殿(ふかまでん)に行き仕事がうまくいくように
祈願をするのがいいでしょう。」とおっしゃるのでそうすることにしました。
外間殿は島の最高位の聖域です。祭事の中心的な場所のようです。
お店からそう遠くないところに外間殿はありました。

芝生の中に建物があります。私は芝生の縁に正座し,今日一日この島での撮影の許しと
幸運を祈りました。野鳥の声が静かな聖地に響きます。ぽかぽか陽気で眠たくなりそうです。


敷地内の木から,なにやら風に吹かれてぶら下がっているものがあります。
近くに行ってよく見ると,毛虫が何匹か糸にぶら下がっていました。

さっそく,写真に収めたくなり,風にゆらゆらと左右に揺れる毛虫を30分近くも追い
続けました。地面に這いつくばって撮影しましたが,なかなかピントがあってくれず苦労しま
した。もういいやと立ち上がるとめまいがしました。
次の被写体は……と,ぐるりと周囲を見渡すと住居の門前に魔よけのスイジ貝が置いてある
のに気が付きました。スイジ貝は「水」という漢字に似ているため,そういう名前がついている
ようです。沖縄では魔よけとして玄関先に吊したりしている住居をときどき目にします。
スイジ貝は竹筒の上に置いてありました。竹筒の先端には,水の入ったガラスコップが
入れてありその中には,なんとカエルがいました。

飼っているのか,好んで入っているのか,または,誤って落ち込んだのか……。
それにしても妙なカエルです。私に気が付いて水の中に沈んでしまいました。
これは,撮影せねばと思い,しばらく離れることにしました。
いっときして,そろ~っと近づきのぞき込んでみると,顔を出していました。
しめしめとシャッターを切りました。カエルの頭にタオルでも置いたら,「いい湯だな!」と
聞こえてきそうでした。



2度目の渡航となります。前回は海の美しさにひかれて訪ねたのですが,
今回は,書籍・比嘉康雄 著「日本人の魂の原郷沖縄久高島」を読んで
再び行ってみたくなったのです。
12月に観光でこの島を訪れる人はまばらです。渡船に乗るのは島の人たちばかりです。
観光シーズンではないせいか,どこか落ち着いた感じがします。
私は空いている前方の席に腰掛けました。
久高島の住人の皆さんは,後ろの席に乗っているようです。
その訳は船が港の外に出たときに分かりました。
船が波を越えるたびにドスンドスンと船首の船底が波にたたきつけられるからでした。
体に伝わる刺激を楽しみながら島に向かいます。
島の港は南側にあります。とても静かな港です。海はブルーに透けて見えます。
黒い隆起珊瑚の岩と緑の低木,それと青い海のコントラストが遙か昔の風情を心に刻み
ます。 港のスロープに現役のサバニが数隻置かれています。
船着き場から小高い丘を上がります。集落は大地の上にしっかり築かれています。
港のにぎわいを後に島民のみなさんと一緒に私も集落に向かいます。
今回は一番船で来ました。夕方の最終便まで島の中をゆっくり巡るつもりできたのです。
自分の心の柵を一つ残らずとっぱらい,バリアフリーの状態で島の自然を感じてみたい
そして,この島の魅力を写真でとらえてみたいと思いました。
集落の中は人もまばらです。ときどき猫さんに出逢います。三毛猫やとら猫,みんな警戒心が
なくとってものんびりとした性格のようです。
島内の撮影をするにあたり,まずこの島の記録写真をとり続けた比嘉康雄さんのことが知りた
くて集落の中心にあるお店のおばあさんに話を聴くことにしました。
おばあさんは,「撮影を始める前に近くの外間殿(ふかまでん)に行き仕事がうまくいくように
祈願をするのがいいでしょう。」とおっしゃるのでそうすることにしました。
外間殿は島の最高位の聖域です。祭事の中心的な場所のようです。
お店からそう遠くないところに外間殿はありました。
芝生の中に建物があります。私は芝生の縁に正座し,今日一日この島での撮影の許しと
幸運を祈りました。野鳥の声が静かな聖地に響きます。ぽかぽか陽気で眠たくなりそうです。

敷地内の木から,なにやら風に吹かれてぶら下がっているものがあります。
近くに行ってよく見ると,毛虫が何匹か糸にぶら下がっていました。

さっそく,写真に収めたくなり,風にゆらゆらと左右に揺れる毛虫を30分近くも追い
続けました。地面に這いつくばって撮影しましたが,なかなかピントがあってくれず苦労しま
した。もういいやと立ち上がるとめまいがしました。
次の被写体は……と,ぐるりと周囲を見渡すと住居の門前に魔よけのスイジ貝が置いてある
のに気が付きました。スイジ貝は「水」という漢字に似ているため,そういう名前がついている
ようです。沖縄では魔よけとして玄関先に吊したりしている住居をときどき目にします。
スイジ貝は竹筒の上に置いてありました。竹筒の先端には,水の入ったガラスコップが
入れてありその中には,なんとカエルがいました。
飼っているのか,好んで入っているのか,または,誤って落ち込んだのか……。
それにしても妙なカエルです。私に気が付いて水の中に沈んでしまいました。
これは,撮影せねばと思い,しばらく離れることにしました。
いっときして,そろ~っと近づきのぞき込んでみると,顔を出していました。
しめしめとシャッターを切りました。カエルの頭にタオルでも置いたら,「いい湯だな!」と
聞こえてきそうでした。
Posted by 有光智彦 at 01:18
│久高島
この記事へのコメント
久高島の声は、命の故郷の声に等しいと思っています。
そして、それを聞く事の出来る心で、この島に向かうことが
この島への礼儀だと思っています。
人それぞれ、あると、おもいますが
それが、繋がってしまうのが、この島の祈りの全てだと思います。
人間らしい人間。
アイヌ語で
アイヌ ネノアン アイヌ
その物語、有光さんの物語をありがとうございます。
そして、それを聞く事の出来る心で、この島に向かうことが
この島への礼儀だと思っています。
人それぞれ、あると、おもいますが
それが、繋がってしまうのが、この島の祈りの全てだと思います。
人間らしい人間。
アイヌ語で
アイヌ ネノアン アイヌ
その物語、有光さんの物語をありがとうございます。
Posted by レイラン・プ at 2008年01月13日 01:38
離島をじっくり回ったことってないんですよね〜。一般的な観光地とはひと味もふた味も違う空気感ですね。とっても生命力を感じます。
ここでは、海には入ってないんですか?
ここでは、海には入ってないんですか?
Posted by naonao at 2008年01月13日 18:40
レイラン・プ様
こんばんは。返事が遅くなりました。ごめんなさい。
とても短いコメントの中に,人として大切なことが幾重にも
重なって込められているようです。
とても心が豊になった気がしました。
ありがとうございます。
こんばんは。返事が遅くなりました。ごめんなさい。
とても短いコメントの中に,人として大切なことが幾重にも
重なって込められているようです。
とても心が豊になった気がしました。
ありがとうございます。
Posted by 有光智彦 at 2008年01月19日 01:30
naonao様
こんばんは。
返事が遅くなりました。ごめんなさい。
島が橋で繋がると便利になる代わりに人々の心の豊かさが
失われていくようです。
反面,閉鎖的な面も離島にはあるかもしれませんが
おじゃまします。という心がけがあれば,島民のみなさんは
心温かく迎えてくれます。
心の通じ合う旅がしたいですね。
久高島の海はとってもきれいです。
水中を覗いてみたい思いは以前からあります。
でも,海に入るとなると神聖な島ですからためらいが
あります。遠慮だともいえます。
島は島民のみなさんにとって大切な心のふるさとです。
とても安易にレジャーは楽しめないのです。
こんばんは。
返事が遅くなりました。ごめんなさい。
島が橋で繋がると便利になる代わりに人々の心の豊かさが
失われていくようです。
反面,閉鎖的な面も離島にはあるかもしれませんが
おじゃまします。という心がけがあれば,島民のみなさんは
心温かく迎えてくれます。
心の通じ合う旅がしたいですね。
久高島の海はとってもきれいです。
水中を覗いてみたい思いは以前からあります。
でも,海に入るとなると神聖な島ですからためらいが
あります。遠慮だともいえます。
島は島民のみなさんにとって大切な心のふるさとです。
とても安易にレジャーは楽しめないのです。
Posted by 有光智彦 at 2008年01月19日 01:41