海中の近況

有光智彦

2008年10月11日 00:52

海では,オカヤドカリの赤ちゃんをたくさん見かけるように
なりました。いつ頃,幼生の時期を終え,陸に上がってくるのでしょうか。
不思議なことがいっぱいです。
どうやら赤ちゃんの時は,身体がオレンジ色をしているようです。
太陽の光線で透けて見えます。とてもきれいです。



上の写真の白い殻を背負ったのは,少し大きくなったオカヤドカリです。
まだ,子どもでしょうか。
彼らを観察するコツは,海岸の一カ所にしゃがみ込んで,じっと待つことです。
1分もすると,ざわざわと動き出します。
こんなに居たのかと思うぐらい見つけることができるでしょう。
海岸を散歩する時,彼らを踏んでいるのではないかと心配になります。

海の中では,「ミジュン」の大群が来ています。
ミジュンとは,イワシのことのようです。地元の人たちは,そう呼んでいます。
ミジュンは,イノーの中に居て絶えず移動しています。
干潮の時はイノーの最深部,潮が満ちてくると,左手の方へ移動します。
イノーの中に見える黒っぽい大きな固まりがミジュンの大群です。
泳いで行って,大群の中に入り,じっとしていると,私を中心にぐるぐると
回り始めます。まるで,魚の壁です。
体長は7~8㎝程度でしょうか。
干上がった潮溜まりに一匹逃げ遅れたミジュンが日干しになっていました。



ミジュンの大群に取り囲まれると,何か大きなエネルギー帯にいるようです。
すごい数の命のざわめきです。
彼らから元気を分けてもらっているような気がしました。

今日は,海が凪いでいました。
風が無く外海も静かです。
いつもは,イノーの中にボートを出し,釣りをしている人が,今日は外洋に
出ていました。
イノーの中もミジュン以外はとても静かです。
その中でも,潮溜まりは,特に静かな世界です。
水深はわずかに50㎝~1m。
幼魚の生育場でしょうか。
そんな彼らの世界にちょっとおじゃましました。
最初,見たことの無い珍入者に魚たちは驚きますが
じっと観察していると,次第に平静を取り戻してきます。
一番最初に近づいてくるのは,やっぱり「ダンダラトラギス」です。
沖縄では,「ヒィージャーのミー」といいます。目が横長で,まるで山羊(ヤギ)
の目に似ているからだと言います。ヤギはヒィージャーと言います。
まだ,子どものようです。子どもは特に好奇心が強いので,手元まで
やってきます。彼のどアップ写真です。なんだろうという顔ですか。笑。



次に近づいて来たのが,イシモチの子どもでしょうか。
岩の陰から出てきました。
一応なんだろうと近づいてきて確認すると,また,岩陰に入ってしまいました。



サンゴはしきりに酸素の泡を放っています。
その上に暮らす魚はたくさんいます。
その中でも,特によく見かけるのが,カエルウオとギンポの仲間です。
じっと観察していると,まだ子どもの「ヤエヤマギンポ」がしきりに
海草をかじり取って食べています。そして,思い出したように時々
私の方を観察します。そして安心したら,また食べ始めます。



サンゴの巣穴から顔だけ出してのぞいているのは,ギンポの仲間です。
とっても臆病ですが,愛嬌のある表情です。
驚くと,すぐ巣穴に飛び込んでしまいます。
そして,顔だけ出してこちらを伺っています。笑。とってもかわいい魚です。



最後は,ヤドカリさんのお宅です。
なんと,おしゃれな窓付きです。笑。



海の中も初夏の元気がある世界から,午後のけだるさのような
どこか,だらけた感じがする季節を迎えているのでしょうか。
これから,段々水温が下がっていきます。
特に浅い岸沿いは外気の温度の影響を大きく受けるので冷たくなります。
そろそろ素肌では,冷えてくるようです。


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