穏やかな海

有光智彦

2008年10月14日 02:12

ここ数日,海はとても穏やかです。
普段撮影しているイノーから離れ,アウターリーフ(外海)へ
出てみました。
海が凪いでいるといっても,外洋からのうねりは,いつもありますから
沖に流されたり,戻されたりして遊泳しました。
白波の立つ浅瀬を迂回すれば,安全に観察できますが,
外洋ですから,ウエットスーツの着用は基本です。
私は,穏やかで太陽の光がサンサンと降り注ぐ時だけ外海に出るように
しています。曇った日は,水中の中が暗く見通しがよくないので
楽しくありません。
そんな今日の外洋で出会った魚たちの写真とエピソードです。



最初に出会ったのは,「ニザダイ:沖縄方言でイユガミー」の群れです。
黒っぽい群れがそれです。水深は5~10mほどの
ところを行ったり来たりして,時々岩に付いている海草を集団でついばんで
います。なわばりがあるのか「ニジハギ:沖縄方言ではシーメークスク」が
やって来たニザダイを勢いよく追い払っています。ニジハギは青と黄色のシマシマ
模様の美しい魚です。



プカプカと波まかせで浮いているのは気持ちのいいものです。

しばらく外洋を楽しんだ後,潮通しの良いところで,体長2~3㎝のとても
かわいらしい魚がいたので,1時間粘って彼の素顔を撮影しました。
ちょうど波の立つところだったので,海草のように左に右に身体が
定まらず魚から見たら,巨大な鯉のぼりがはためいているように
見えたかもしれません。笑。



最後はちょっとかわいそうな話ですが,
イノーの中で見た「ヤエヤマカエルウオ」です。
写真を見てもらえば,口の端が変形しているのが分かると思います。
おそらく傷を負っているのでしょう。



普段は,警戒心が強く近くに寄れない魚です。
それが,カメラから僅か10㎝の距離で逃げようとしないのです。
おかしいなあと思いながら撮影しました。
この傷は治りかけているのか完治しているのか分かりませんが
おそらく,釣り針に食いついて逃げおおせた時に付いたものだと
思います。医者のいない自然界で身体に負った傷は致命傷と
なります。弱った個体は外敵の餌食にもなります。
私も子どもの頃,よく釣りに出かけたものです。
でも,成人してからは,魚がかわいそうで一度も釣りに行きません。

魚にも,心があり,痛みや不安,恐怖があると以前にも何度も書きました。
これは,長い時間,水中で魚を観察してきた経験からそう思うのです。

また,イノーには,重りの「鉛」や釣り糸,釣り針などが,引っかかって
いて海水浴客にとっても,生物にとっても危険で有害です。
遊泳者の横で投げ釣りをする釣り人をよく見かけます。
一ヶ月の間で拾ってきた鉛は10個になりました。
そんな人たちばかりでないことも知っています。

今回は,最近特に思うことを書きました。
このような暗い一面のあることを,楽しい娯楽の陰の部分に悲惨な事実が
あることを聞いてもらいたいし,知ってもらいたいと思うのです。
小さな弱い生きものへの配慮をお願いしたいものです。

これからも,楽しい話題の他,個人的ではありますが,思ったこと。
感じたこと。など問題点も含め掲載していこうと思います。

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