沖縄に秋があることを体感しています。
内地から来た私には,季節の変化に敏感です。
空模様や空気の匂い,風向きと温度などで
8月,9月とは違う感じを五感で受けています。
また,露地物を扱う市場の野菜や果物の種類からも
季節の移り変わりが分かります。
初夏の燃えるような時に食べるパッションフルーツは
身体が欲しがるように感じますが,つい最近まで
遅れて熟したものを買って食べてみましたが,
そんなにおいしく感じませんでした。
やはり「旬」のものを食べるとおいしく感じるように
私たちの身体は出来ているのかもしりませんね。
海の中も,初夏のにぎやかさは,もうありません。
暑い夏を乗り切り,水温も下がりはじめました。
海水浴客も減り,魚たちも幾分落ち着きを取り戻して
いるかのように静かです。
イノーの中は最近の雨のせいか濁っています。
外海へ近づくほど透明度がいいようです。
しかし,外海が静かな日は数日のみで,再び白波を
立てています。
イノーから外海へ通じる水道部は,深いタイドプールもあり
素潜りを楽しむのには良い場所です。
外海に最も近いタイドプールは干潮時に5メートルから
7メートル位でしょうか。海底までよく見えます。
ダイバーの話では,海底洞窟のようなところがあり
外海側と繋がっていると聞いています。
岩だなの下を見ると真っ暗で何かが出てきそうな
感じさえあります。笑。ぞくっ。
そこは,外洋に近いため,わりと大きめの魚を観察
できます。ニザダイやニジハギをよく見ます。
しかし,春と夏の大潮以外は,外洋と完全に
遮断されないので,波が押し寄せてきますので
身体は,波にもて遊ばれてしまいます。
前回,同じ場所でなかなかすばしっこくて撮影出来なかった
スズメダイに再度チャレンジしました。
やはり,波にもまれながらの撮影なのですが1時間粘って
ピンボケ写真を何枚か撮りました。
彼の家は,小さなテーブルサンゴの下です。
そこから1メートル以内に近づくものを排除しようとします。
無論私も対象なので,何度も向かってきました。
小さいのにすごい勇気です。
写真の静止画でよく見ると,なかなかキュートな愛らしい表情です。
この次に外洋に近いここを訪れるのは,来年かもしれません。
そのとき,再会できたら嬉しいのですが。
潮が満ちてくる頃,イノーに向かって流されながら生きものたちを
観察します。岩場の陰の浅瀬にハゼとエビの共生の巣穴を見付けました。
脅かさないように接近して息を殺して観察します。
ハゼは巣穴の入り口で外敵が接近してこないか(もうすでに私が居る
のですが気が付いていない)見張りをしています。
エビはせっせと重労働の穴堀です。笑。
エビの腕はハサミと移植ゴテのような構造で,上手に砂やサンゴの
かけらを掘り出してきて巣穴の外に捨てます。
気づかれないのをいいことに,カメラを接近させた瞬間にハゼもエビも
気が付いて巣穴の奥に一瞬で逃げ込んでしまいました。笑。
掘り出した砂には,何か栄養物が含まれているのでしょう
小さなヤドカリたちが群がっていました。
私は,水からあがると着替えてから,海岸のオカヤドカリの
観察を楽しみにしています。
今日は,水際に寝そべり観察をしました。
遠路はるばるやって来たのは,小型のオカヤドカリです。
おそらく海岸沿いの山から防波堤を越えて,石がごろごろしている
海岸を何時間もかかって,やっと渚に着いたのでしょう。
彼は,海水を浴びてから,しばらく遠くを見つめていました。
そして幾分くたびれた足取りで再び山を目指して戻って行きました。
オカヤドカリは海水で身体を湿めらせていると本で読んだことが
あります。ほんとうに,それだけのために渚にやって来たので
しょうか。太古の昔,海から陸に上がった生物のうち浜辺で生活
している生き物は,海との縁を切れないのでしょう。
私たちの血液は,古代の海水の成分とよく似た成分から出来て
いると言います。海に心が引きつけられるのは,そのせいなの
かもしれませんね。