海中温度

有光智彦

2009年01月03日 02:32

1日と2日は,アウターリーフの撮影をしました。
いつもの手順どおり,イノーから入ります。
とても冷たく,まるで氷水の様です。水温は,それでも19度はあります。
地上の空気が15度ですから,それよりも4度も高いのに,すごく
寒く感じます。

最初に見付けたのは,エビとハゼの共生の巣穴でした。
巣穴の入り口でハゼが番をしています。エビは中で掘削作業中の様です。
慎重にカメラを寄せて撮影しました。



イノーを足早に過ぎて,天然の水道部に入って行きます。
ちょうど引き潮の最中なので,ゆるやかな流れに沿って沖へと向かいます。
12月の干潮時よりも,水深が浅くなっていることから,これからは,次第に
よく引くようになるのでしょう。

次に出逢ったのが「シマキンチャクフグ」です。
近づいても,「あなたなんか見えていないよおー,怖くないよおー!」というように平然と
しています。コントラストのはっきりした模様がなんとも素敵です。



水道部の途中にもやもやした潮目がありました。ちょうどそこが,イノーと
外洋の潮の境目でした。水温は一気に2.5度上昇し21.5度となりました。
まるで,ぬるま湯に浸かっているようです。
まったく寒くはありません。無論5ミリ厚のウエットスーツを着装しています。
外洋側は棚があったり急に深くなったりととてもメリハリのある景観です。
透明度はいいのですが,曇天であるため,暗く感じます。



リーフ沿いを300メートルほど進みながら撮影をします。
うねりもほとんど無く快適です。



途中,体長約50㎝ほどの魚の群れに会いました。
見た目普通の回遊魚ですが,小魚の群れに迫るとき「ガバッ」と大口を開けて
突進していました。その時だけ頭部が銀色に見えるのです。
それにしても,顎が外れる仕組みなのか,とても大きな口に変身するものです。



この魚の群れを撮影するチャンスは数回ありましたが,暗い水中では,
なかなか焦点が合わず,1枚のピンポケ写真を撮るのがせいいっぱいでした。

しばらく,また進んでいると,今度は,「ミノカサゴ」に遭遇しました。
端で観察していると,流れ藻のように潮任せに漂っています。
しかし,口元は常に海底方向を向いているのです。
そして,小魚が近づくと一瞬で「ぱくり」とやるんです。みごとですが
獲物がくるまでひたすら海藻のふりをするのも大変そうです。
この「ミノカサゴ」は翌日も同じ所に漂っていました。
私と視線が合うと,「また,あんたか」というような,うっとうしそうな目で
見られました。笑。



帰りは100年前に掘られたという人工水路を通ってイノーへ戻りますが
水路の手前のサンゴ礁にギンポの巣穴があったので,しばらく遊びました。



ひょこひょこ顔を出したりひっこめたりする様は,とてもかわいいものです。

ギンポの撮影に一所懸命になっていたとき,なんと私を観察している魚がいました。
セダカギンポでしょうか。海底の陰からこちらを眺めていました。



人工水路を通るころは,満ち潮が始まっており,潮に押されながらイノーに
戻りました。再び水温19度の水域となり震えながら岸を目指しました。
昨日と今日は,ダイバーの方々を多く見ました。
みなさん初潜りを楽しんでいるのでしょう。


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