海までの道

有光智彦

2009年03月10日 01:47

長くブログの更新を怠りました。
この一週間ばかりは,確定申告や沖縄大学の講義の公聴会,雨の日などで
海に入る日が減りました。
それでも,砂辺の海でサンゴに絡みついた釣り糸の除去,新原(みーばる)ビーチ
の海底の様子などを見ることができました。
今日あたりから潮も良くなります。昼間によく潮が引くようになります。
明日は,晴れてほしいものです。洗濯物も干せません。
湿度は昼間90%ぐらいあったのが,今現在は75%に下がっています。
沖縄では,湿度の変化がけっこう激しいようです。

最近は雨や曇りの日が多かったのですが,曇っていてもカブ号で出掛ける
ことにしています。
それは,集落の路地に入り込み「ここがいい」という写真のポイントを探すためです。
また,風を感じて季節の移り変わりを肌で感じることができるからです。



いつも荷台に潜水用の機材を,フロントのかごには,撮影用の機材を載せて,
重量オーバーぎみで走っています。
自宅からは,知念村のぐねぐね道を通っていきますが,ここあたりが楽しいところ
です。古い集落があり,沖縄らしい風情のある家々に出会えるからです。



雨が降ると,道沿いの草むらからいろいろな生き物が路上に出てきます。
大きなかたつむりの「アフリカマイマイ」,小さなかたつむり,イモリ,カエル,カニ
などです。見付けるたびに拾い上げて草むらに放してあげますが,こういう時に
カブ号が便利です。どこでも止まれて進路変更もできるからです。

つい先日も,路上を横断中の「イモリ」を見付けました。
やや大きなタイプで,動きも家の中に居る「ヤモリ」と比べると緩慢で
のっそのっそという動きです。まるで小さな恐竜といったところです。
草むらに放す前に手の上に載せて観察しました。
とてもかわいいのでしばらく遊びました。笑。



沖縄の家々には,垣根に植物が這って花の咲いているものや,玄関に花のアーチを
設けたのもあります。カラフルな花々は,赤瓦の古い民家にとてもマッチしています。
そして,屋根の上には,どれ一つ同じのがないシーサーが鎮座しています。
そんな風景にひかれてしまうのは私だけではないでしょう。



晴れた日には,ハルサー(畑)仕事に出掛ける耕耘機付きリヤカーによく出逢います。
運転しているのは,人生を楽しんでいるという顔のおじー。リヤカーには,おじーに
寄り添うようにおばーが座って微笑んでいる。
路上ですれ違う時,そんな彼らと目が合うと必ずスマイルを返してくれます。
いつか,この老夫婦の耕耘機を写真に撮りたいと思っています。
だから写真はまだありません。



海の中の様子は,太陽の光が少しだけ強くなり,海底に反射し海の中が明るくなった
ことでしょうか。生きものたちも,次第に活発に動き出しているようです。
ヤドカリもサンゴの上で気持ちよさそうです。



赤い身体にしましまのヤドカリは「ベニワモンヤドカリ」でしょうか。
また,この季節は,甲殻類の脱皮の時期にあたるのか,ときたま脱皮した抜け殻を見付ける
ことがあります。つい先日も5メート下の海底で大きなイセエビの殻を見付けました。
引き上げは,殻を壊さないように慎重に行いました。自宅に持って帰り,形を整えて
乾燥さているところです。

イノーの中での観察は,私にとってはとても興味深いものがあります。
魚たちの行動をじっと観察します。
毎日同じような光景でも,よく観察すれば,いろいろな行動があることも解ってきます。
下の写真は,ヒメジの仲間と「ミツボシキュウセン」のコンビです。
ヒメジの仲間が自慢のヒゲで海底の砂をまさぐっています。
その横に「ミツボシキュウセン」がぴったりと寄り添っています。
これは,ヒメジが見付けた食べ物をお裾分けしてもらうためなんです。
だから目が真剣です。でも,なかなか食べ物は見付けられないようです。
それでも,あきらめずに付いて廻っていました。



次の写真は,藻を育てる「クロソラスズメダイ」と「ヤイトギンポ」です。
彼らは,同じハマサンゴの上に暮らしています。
「クロソラスズメダイ」は農業をする魚とも言われ,古くなり,劣化したサンゴの上に藻を
育て,自分の食べ物にしているそうです。だから,侵入者が近づくと攻撃してきます。
このおいしそうな藻を食べようと近づいてくる魚たちは,追いかけ回されて威嚇を
受けます。
そんな厳重なセキュリティーの中で同居の「ヤイトギンポ」はちゃっかりと
この藻を頂いているのです。どういうふうに「クロソラスズメダイ」の監視の目をあざむく
のかよく解りませんが,ある瞬間に巣穴を抜け出し,50センチ離れた藻場に行って
特に日光を吸収しよく育ったところの藻をぱくぱくと食べるのです。
そして,30秒ぐらいすると,元来た道を素早くたどり,巣穴にバックオーライで
器用に入ります。笑。
まさか,居住者が藻を失敬しているとは,流石の「クロソラスズメダイ」思っていない
ようです。「ヤイトギンポ」の巣穴があるのも知らないのかもしれません。



そんな彼らのやりとりを見ているのは飽きません。
私も,例外なく「クロソラスズメダイ」の威嚇攻撃を受けてしまいました。
その代わりに彼の怒った顔を至近距離で撮らせてもらいました。



藻場には,彼ら以外にもいろいろな生き物が暮らしています。
下の写真は「クチナガイシヨウジ」という小さいヘビのような動きをする
魚です。動きは緩慢ですが,危険を感じるとスルスルと逃げてしまいます。
時々,長い口でサンゴの上をつついて何かを食べているようです。
愛らしい瞳で見つめられると,かないません。



水から上がると,日光の当たる岩場に何やら毒々しい消しゴムのような
生き物が居ました。何だろうと手袋を付けてつまんでみました。
水の中に戻して観察すると,段々と動きだし,どうやらウミウシの仲間だという
ことがわかりました。それにしても,迫力のある模様です。



リーフの沖には,白い大きな船が錨泊していました。
「第7開洋丸」と名前が確認できます。どうやら水産関係の調査船のようです。



外洋の海の色もまだ青々していません。夏になると空と海の境のコントラストが
はっきりして沖縄らしい海となります。それまで,あと少しです。

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