産卵の季節

有光智彦

2010年05月30日 10:31

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沖縄の今朝は曇りです。
明日は回復の見込みなのでお日様の恵みを頂けるかもしれません。

もうすぐ6月,海の中でも今年生まれた小さな命たちを見かけるように
なりました。
数日前からスズメダイの産卵行動を観察しています。
最初に見たときは,雄が単体で岩の上の藻類に身体をすりつける行動を
繰り返していましたが,付近に雌は見かけませんでした。
雄の体色は少し濃くなっていました。

2日後,同じ場所を訪ねると,雄雌で産卵行動をしていました。
観察していると,雄は,岩より30センチほど上で待機する雌を誘って
岩表面に降下し産卵と放精を繰り返していましたが,雄が誘うのは同一の雌では
なさそうです。他の雄は,ペアの産卵行動を目撃すると,攻撃し,じゃまを
するような激しい行動をしていました。ゆっくりと産卵はできないようです。



岩の上の藻類をマクロレンズを通して見てみますと,なんとか見える程度の
大きさです。0.5ミリぐらいでしょうか。肉眼では見えません。
卵は,やや楕円形で中に油球が見えます。
これからの変化が楽しみです。



以下は,ここ一週間ぐらいで出逢った生きものたちです。

濃いむらさき色のサンゴの枝の陰からギンポの子どもが顔を出しました。
顔の大きさは3ミリぐらいです。
このサンゴは,1年半以上観察を続けているのですが,全体の半分以上も
死滅したのに再び頑張って再生を始めているのです。
頑張れよ!と来るたびに声をかけています。



大きなハマサンゴの下では,ヨウジウオが櫂足類のコペポーダ(通称コペ)を
長い口で器用に捕まえて食べています。



カメラを覗き,小さなポリプのサンゴを撮影していると,画面の中に
ヘギギンポが飛び込んできました。
好奇心があるのか離れません。



別のサンゴの上にもヘビギンポが乗っかっています。



ソフトコーラルの上にはハゼの仲間がいました。



ほとんど透明で目が上に付いています。前や横も見えるのでしょうか。笑い。



別のソフトコーラルでは,ギンポの仲間がくつろいでいます。
魚にとってソフトコーラルは,なかなか人気のようです。



藻類の間をシラタマガイがカタツムリのように進んで行きます。



この貝は大きくても7ミリぐらいの大きさで,色は純白,とても清楚な
かわいい貝です。



時々磯で拾うことができます。
生きているところを見たのは初めてでした。


岩陰ではヤエヤマギンポとベラの子どもがなにやら話しをしています。
どうやら,寄生虫を食べてあげましょうと言っていたようです。



リーフの上で大きなオニダルマオコゼを発見しました。
大きさは30センチ以上あります。からだじゅうに藻類が生えています。
これで岩のようにみせかけて,近づいてきた魚を丸飲みにしようという
魂胆です。しばらく観察していましたが,ほんの少しヒレが動いただけ
でした。我慢強いのか鈍いのか。ピンセットの長さは15センチです。



サンゴの上にいるイシガキカエルウオを撮影しようとすると,巣穴に
飛び込んでしまいました。みるみる顔が真っ黒に変わってしまいました。
この巣穴の入り口にはイソギンチャクのような生きものが付いています。
おそらく毒があるのでしょうから安全な巣穴なのかもしれません。



薄むらさき色のサンゴの周りを泳いでいるのは,シマキンチャクフグですが,
少し感じが違います。お腹がメタボになっています。いったいどうしたんでしょう。
いつもはスマートですが,なんだかとてもユーモラスです。
何枚も撮影したのでサンゴの後ろに隠れてしまいました。



太陽の光は,満ちてくる磯にエネルギーを与えています。
ようやく潮に満たされた藻類は,光合成を始めます。



無数の酸素の気泡が磯の表面を覆います。



やがて浮力がつくと,海面めがけて昇っていきます。



海面には,こうして集まってきた気泡で覆われています。



しばらくすると,それぞれがはじけて,壮大な大気の中に帰っていきます。
起点も終点もありません。地球の大気は常に循環しているのです。
海も大気も壮大です。



そして海は彼らのものです。


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