2008年09月17日

赤水流入

今回は,雨による大度海岸の赤水流入の様子をお伝え
したいと思います。
大度海岸が直面している環境悪化の実態をみなさんに知って
頂きたいと思います。
もちろん,大度の海だけではなく,海への赤水(赤土)の
流入問題は,本土復帰後,沖縄各地でなされてきた土木工事により
大きな問題として爪痕を残してきました。
この問題は,故吉嶺全二氏の「沖縄・海は泣いている」に詳しく
紹介されています。

大度海岸の海に向かって右端に流入箇所があります。
これは,海岸に隣接した農地で発生した雨水をろ過して海に
流すシステムがです。ろ過の方法は,濁水を一度沈殿池で
赤土などを沈殿させ,きれいにするというものです。
農地改革の土木工事後に造られたもののようです。

しかし,大雨には対応できず,今回ぐらいの雨でも赤水の
流入となりました。
赤水は,大度海岸の右端に位置するイノーに流れ込み,一帯を
赤土の海に換えてしまいます。
その後,大量に流入が続くとイノー全体に広がるようです。
右端のイノーは完全に死んでいます。生物は死滅し赤土で
汚れた岩だけが無惨に濁った海水を貯めているだけです。

下の写真は,赤水の沈殿池です。
赤水流入赤水流入

農地改革の前は,雨水は畑に染み込み海岸への赤水の流入は
無かったと地元の人々はいいます。
農地の排水を3カ所の沈殿池に集結させ,そこからコンクリートで
固めた水路により海へ流入させることが,赤水流入を起こして
しまったようです。
赤水流入

大雨が続くと水路はあふれんぐらいの濁水となって海へ流入する
いいます。
機会を捉えその様子をお伝えしたいと思います。

海岸へ至る水路の末端部です。
赤水流入赤水流入

米須側のイノーへ流れていきます。
赤水流入赤水流入

海には赤水と海水の境界線ができています。
海水の流れにより流出方向が変わります。
風の影響は受けません。
赤水流入赤水流入赤水流入赤水流入

海の中に入ってみました。
海中から見た赤水は,まるで迫り来る暗雲のようでとても不気味
でした。段々と押し寄せてきて吸い込まれそうでした。
赤水流入赤水流入赤水流入赤水流入

米須側のイノーは死滅しています。
以前は足の踏み場も無いぐらいのサンゴが密集し,いろいろな
生きものが取れたといいます。
私には,現状を見るととても信じられないことのように感じます。
写真は赤水が流入するイノーの翌日の画像です。
赤水流入赤水流入赤水流入赤水流入


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Posted by 有光智彦 at 20:54 │海への負荷 泥水流入
この記事へのコメント
まったく同感です。
大雨の後の大度海岸を見ると悲しくなります。
大度の海が大好きで3年前に移住し感じた事は年々かわいい魚が
少なくなっていること・・乱獲もありますが赤水の影響のほうが
多大でしょうね・・
なんとかならないものでしょうか・・
沈殿している土砂は定期的に取り除いているのでしょうか?
何か出来る事がありましたら教えてください。
協力して自然を破壊する事に歯止めできたらとおもいます。
Posted by ここちゃん at 2008年09月18日 09:52
こんばんは。
台風はどうでしたか?やはり、内地の台風とは大違いでしょうか。

大度には、生きものの貴重な生息場所であると同時に、
深刻な現実が迫ってきているようですね。
人間の都合によって、生きものたちがどんどん追いやられてしまう。
その上、貴重な生活場所もなくなりつつあります。

汚れた海をきれいにできるのも人間だからこそ、
生きものたちを守るために、自然への意識を高く持つ必要がありますね。
Posted by しおりねーねー at 2008年09月21日 20:55
ここちゃん 様

コメントありがとうございます。
返事が大変遅くなりました。
すみません。
同じように生き物の身を案じてくれる心が嬉しいです。
大度海岸では,イノーの中で「銛つき」をしている若者を
よく見かけます。聞けば「うみんちゅ」の話を始めます。
本物の漁師さんは,おそらく自分たちのことを「うみんちゅ」とは
言わないでしょう。そして猟場ば外洋です。
テレビで見たことがかっこいいからという理由で銛を扱っているようです。
自分のしとめようとしている魚の名前すら知らないという現状です。
イノーの中の魚はほとんどが幼魚です。
子どもの魚を串刺しにする無神経が私には理解出来ません。
現実に起きている殺人事件の背景には,生き物の命のことを
考えたことのない屈折した心の存在があるのではないでしょうか。
とても怖いことです。
Posted by 有光智彦有光智彦 at 2008年09月30日 03:31
しおりねーねー 様

コメントありがとうございます。
やはり,人間は地球の「ガン」なのかもしれません。
自然と共生をはからなければ,未来は無いと思います。
いかに,そのような心を育てていくかが急務ですが,
偉そうに人の心を変えるなどなかなか不可能なことです。
戦争や自然保護,地球温暖化はけっして他人事ではなく
身近に迫った一人一人の問題だと思うのです。

大渡海岸では,熱帯魚の採取,天然記念物のムラサキオカヤドカリ
の採取,ウミガメの卵の持ち去り,生きたサンゴを持ち帰ろうとする者,
銛つき,ゴミの放置など,マナーや法律を犯す人があとを断ちません。
何か後ろ見たさを感じるのか,無心にこそこそと行動している場面を
よく見かけます。
こういう人たちに声をかけ,理解を求めるのは容易なことでは
ありません。また,危険も伴います。
しかし,言わなければエスカレートするばかりです。
住人も強い関心があるので,情報はすぐに伝わります。
今年6月,大度海岸で台湾人の男女がムラサキオカヤドカリを採取し
空港に着いたところで拘束された事件がありました。
糸満警察の刑事も現場に来ています。
行政が本気で取り組めば防げることがあるということです。
マナーが守れないなら法律をもって対処しなければならない国なんて
先進国といえるのでしょうか。
Posted by 有光智彦有光智彦 at 2008年09月30日 03:59