2009年01月21日

魚の診療所Ⅱ

20日の沖縄は,大気がかすんでいて春の様な陽気でした。
太陽もかすみの中に一日の仕事を終えました。
僕は,海を休みました。
連日の撮影での休息が必要でした。
天気が良いのにと,とてももったいなく思いました。

話題は,前回に引き続き魚の診療所です。
大度海岸のイノーには,あちらこちらに「ホンソメワケベラ」の
診療所があるようです。
そして,どこも大忙し。大繁盛です。
いろいろな魚たちが集まってきます。
ダツ,アオヤガラ,フグ,チョウチョウオ,オジサン,スズメダイなどなど。
「クリーニングをお願いします!」のポーズはだいたいみんな同じです。
基本的に全てのヒレを全開にして身体を立てるのです。

魚の診療所Ⅱ

だけど,アオヤガラとダツだけは,身体が長く無理なので
別の合図でお願いをアピールしています。
アオヤガラは,特におもしろく,まず,あの細長い口先をパックリと開け,
身体を左右にローリングしながら細かく震えます。
体色も白っぽい色から深い灰色に変化します。
人間があまり近寄ると,体色がシマシマの模様にさぁっと一瞬で変化します。

魚の診療所Ⅱ魚の診療所Ⅱ魚の診療所Ⅱ魚の診療所Ⅱ

僕は,悟られないように診療所の反対側に潜行し,サンゴの陰や下の方に開いた
穴から反対側を覗いて撮影しました。笑。
ときどき,穴の向こうから魚たちが怪訝な顔してこちらを覗いています。
なんだろうあれは?という表情です。

魚の診療所Ⅱ魚の診療所Ⅱ魚の診療所Ⅱ魚の診療所Ⅱ

隣の診療所までは,僅かに5メートル。こちらも大忙し。
お得意様のコクテンフグがお客です。
とても気持ちよさそうにクリーニングを受けています。
なかなかもういいよ!とは言いません。

魚の診療所Ⅱ

悪いとは思いましたが,岩陰を迂回し,正面の死角からコクテンフグの顔を
撮影することを試みました。
息がつづくことを祈りながら少し離れたところから潜行します。
なんとか正面の海底にたどり着き,カメラをそろりとフグの正面に差し出します。
シャッターを切るのが早いか,フグが気づくのが早いかです。笑。
それが下の一枚です。おどかしてごめん!

魚の診療所Ⅱ

コクテンフグは,ゆっくりと立ち去りました。
その後,直ぐ近くのハマサンゴで食事をしていました。
なんと食事は,ハマサンゴそのもの。
あの堅い骨格ごとバリバリとかじり取っていました。
そして,むしゃむしゃとすり潰すようにして食べていました。

魚の診療所Ⅱ魚の診療所Ⅱ

ハマサンゴの表面には咬み後が無数に残っていました。
僕は,今までブダイの仲間だけがかじっているものと思っていたので意外でした。

魚の診療所Ⅱ魚の診療所Ⅱ

次の被写体を探していると,診療所近くの海底にハゼとエビの共生の巣穴を
見付けました。

ハゼが見張り番でエビがせっせと砂やサンゴのかけらを掘り出しています。
ハゼが危険を察知するとエビ共々一瞬で巣穴の中に逃げ込んでしまいます。
ハゼを脅かさないようにカメラをじわじわと近づけます。
息がつづくまでが勝負です。一回の息継ぎでエビが出てこないと
再度水面で空気を吸って再びチャレンジします。
20回ぐらい繰り返し,やっとハゼとエビが一緒に居る一枚のスナップを撮りました。
共生しているハゼとエビの種類にはいろいろなパターンがあるようです。
相性が良いのと悪いのがあるのでしょう。
これからも,いろいろなパターンを撮影していきます。

魚の診療所Ⅱ魚の診療所Ⅱ魚の診療所Ⅱ魚の診療所Ⅱ


こうしている間も泡瀬は埋め立てられています。
いろいろな方々が投書したり新聞で訴えたり,またブログにメッセージを
綴ったりしています。
今回の埋め立て中止に向けて署名活動を続けています。
毎日たくさんの人が署名に協力し,コメントを書き加えています。
下からアクセスできます。署名をしないでも各人のコメントも見ることが
できます。こんなにたくさんの方々が合意していないんだと思うと
埋め立て強行は明らかに中止すべきだと思います。

国,県,市の行政は,市民の手本のはずです。
その大元が,裁判所の判決で「これ以上の公金支出をしてはならない」と判決を
受けたにも関わらず,無視して公金を使い埋め立てを始めた。
「司法の無視」を許せば,今後いかなる私たちの権利の保障は無くなります。
民主主義に正義があるなら国,沖縄県,沖縄市の暴挙を許してはなりません。
一人一人が出来ることは僅かです。
私も,日々出来ることは無いかと模索しています。

もしよろしければ署名にご協力ください。
匿名でもオッケーと成っています。コメントもたくさん書けます。
よろしくお願いします。
今回は1月25日で一度集計し,提出するようです。
その後も署名受付を継続するそうです。

署名 http://www.shomei.tv/project-631.html

また,「KEN子の黄昏日記」というブログもおもしろくて,また熱いブログです。
泡瀬の情報が詳しく書かれています。是非一度開いてみてください。

KEN子の黄昏日記 http://kenkokenko.ti-da.net/

魚の診療所Ⅱ


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この記事へのコメント
有光さん

しばらく内地に帰っていたので昨日フクザトさんから写真CD受け取りました。
ありがとうございました!
Posted by さめ at 2009年01月22日 02:26
さめ さんへ
どうか落胆せぬように願いたい。
私も各機関にメールを送り内閣府の勉くんへは画像も送りました。
無論どこからも返事はなし。
自然保護に対する日本国の取り組みは最低ですが,海や山を守る意識の普及は,根底からの底上げは可能です。長い長い試みとなるでしょう。
座り込みも気になるのですが,海に入り,今後の普及啓発のための写真を
撮り続けています。今日は4時間入っていました。笑。
直ぐには,社会の流れを変えられませんが,長いスパンで考えています。
一生を通じて語りかけて行きます。必ず変えられると信じています。
さめさん!,さめさんの涙は,みんなの原動力ですよ。
Posted by 有光智彦 at 2009年01月22日 20:22