2010年12月02日

釣り具回収11月

11月に行った釣り具の回収は4回でした。
1回につき約3時間の活動です。
活動場所は釣場前の約100メートル四方の狭い海域です。
砂辺での定点回収は12月でまる2年が経過しました。
2年間の活動回数は65回です。
今年1年間では32回で昨年とほぼ同じでした。
最初はあちらこちらのサンゴに古い釣り糸が絡み付き,
死滅や死滅しかかったサンゴを多く見ました。
私たち2人は月に2から3回のペースで活動してきましたが,当初に
比べるとサンゴはいきいきと成長してきています。

釣り具回収11月

人が原因でなされた負荷を除去してやることで,
自然は再生していくことを実感として感じています。
ただ残念なことに昨年,新しい護岸を造る工事により,
小さな浜が消失したことです。これが無くなったことで
稚魚たちの成育場所がなくなり,稚魚をあまり見なくなりました。

また,1個体のサンゴの成育を観察してきましたが,
周囲の環境の変化や人為的な負荷により元気だったサンゴが
半分以上死滅し,その後なんとか再生を始めています。そして,
最近では稚魚やヒトデなども住み着いてきています。
岸に近い海のサンゴは台風などの自然現象の他に人為的な負荷を
常に受けています。無事に成長できる保証などどこにも無いのだと
いうことをこの1つのサンゴから教えられました。
いずれこのサンゴの物語も紹介したいと思います。

釣り具回収11月

今月の3,4回目の活動状況は2日続けて行いました。
水温は23℃で先月に比べ2℃下がりました。
冷たく感じます。
先月からイカエギが多くなりました。
1回の活動で20本近くも見つかります。

釣り具回収11月

全て何かに引っかかって切れてしまっています。
引っかかるのは主にサンゴとソフトコーラルです。
その他岩礁に掛かっているものも目につきます。
何故,リーフ上の浅瀬にイカエギを投入するのか疑問です。
テクニックが悪いのでしょうか,それとも知らないのでしょうか。
このイカエギは年間では,250本ぐらい回収しています。
イカエギはサンゴに引っかかるとダメージを与えます。
やわらかい触手を傷つけてしまったりサンゴの骨格じたいが折れて
しまうこともあります。

釣り具回収11月

ソフトコーラルでは針が肉に突き刺さったまま,その部分が壊死している
こともよくあります。

釣り具回収11月釣り具回収11月

それに釣り人の数が多いわりに海中でイカを目撃しないことが
不思議です。釣り人はこのことを知っているのでしょうか。

釣り具の回収で一番やっかいなのが最近の釣り糸です。
Pe(ピーイー)という名のその糸は普通の釣り糸の5倍ぐらいの
強度があると言います。値段も高いです。
手触りも見た目も木綿糸のようですが,普通のハサミではなかなか
切れません。これがサンゴに絡み付いた場合がとても大変です。
除去するのに何度も潜水(活動は全て素潜り)することになります。

釣り具回収11月

自然の中で分解するどころかその逆だからやっかいです。
釣り具メーカーは売れれば何でも作って売ってもいいのでしょうか。
自然界に与えている影響を知っているのでしょうか。

また,たくさんの針が付いた疑似針もやっかいです。
回収するときに指に刺さったりします。

釣り具回収11月

回収しても一週間もするとまたサンゴに引っかかっているのが現状です。

釣り具回収11月釣り具回収11月

発見が遅れると,こんな状態になりサンゴは過半が死滅状態となります。

釣り具回収11月

引っかかっていたものは細いロープと釣り糸でした。
団子状になっている部分をとりあえずサンゴから切り離します。

釣り具回収11月

切り離した後のサンゴの状態です。上部のほとんどが死滅しています。

釣り具回収11月釣り具回収11月

釣り具回収11月

釣り具回収11月

回収中,釣場前では,餌の袋やタバコの吸い殻,使い捨てライターや
買い物袋などが流れてきます。

釣り具回収11月

釣り具回収11月釣り具回収11月

釣り具回収11月

海の中から護岸の上に立ち並ぶ釣り人を眺めていると,いったい
どれだの釣り人が海の中の生きものたちに与えている負荷を
認識しているのかと怒りが込み上げてきます。
それは釣り人一人一人への怒りと今の荒廃した社会への
怒りでもあります。

この日は天気が良かったので,魚たちも,のんびりとひなたぼっこをしていました。

釣り具回収11月釣り具回収11月釣り具回収11月釣り具回収11月

なまこは大量のうんこをしていました。笑い。

釣り具回収11月

海の中は西に傾いた日射しが射し込みウミシダに降り注いでてました。

釣り具回収11月


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Posted by 有光智彦 at 02:43 │釣り具の回収
この記事へのコメント
おはようございます。
釣り人のマナーは本当に悪い人が多くなりましたね…
餌のサンマなどをそのまま歩道に捨てて帰るので悪臭を放ちますし、釣り針・糸・カミソリ・空の弁当等さえも持ち帰れない…どうなっているんでしょう?

僕は釣りはしません…その理由は世界一マナーの悪いレジャーだからかも知れません。
Posted by まーこー at 2010年12月04日 06:28
まーこー 様

おはようございます。
先日,釣り具の回収を終えて水辺に上がって来ると
幼子を連れた黒人の男性がたたずんでいました。
挨拶をすると流ちょうな日本語で語りかけてきました。
しばらくいろいろなことについて会話を楽しみました。
この方も近所に住んでいて釣りに限らずゴミ問題が
大変だと言っていました。
若者たちが深夜に集まり飲み食いして食べかすを放置
して帰ることがよくあるそうです。
出身はアフリカのガーナ共和国,海は美しく観光地
となっているためゴミは清掃されて全く無いと言っていました。
その知恵は国外からのもたらされたものと説明していましたが,
同じ人として何が違うのでしょうか。

私は今,自宅の荷物整理をしているのですが,その
荷物の多さに我ながら唖然としています。
物質に囲まれた生活,必ず必要でないものの多さ。
所有する物質の量と幸せは比例しないことを
実感しています。
生きる上で必要最低限の物とはどれだけのものでしょう。

ひょっとすると,このような大量生産,消費の社会の
背景にある使い捨て文化が社会の荒廃を招いている
要因のようにも思われてなりません。

でも,気が付いた者たちが微力でも,小さな正しい行いを
積み重ねていけば,やがてそれは波紋となり
周辺に良い雰囲気をつくっていくのだと思います。
そうして誇れる社会を築きたいものです。

まーこーさん,コメントありがとうございます。
良い一日をお過ごしください。
Posted by 有光智彦 at 2010年12月04日 10:04