サンゴの白化2017その後

有光智彦

2017年10月09日 23:50

前回の観察から二週間後、9月の下旬に同じポイントでサンゴを観察しました。
水温は簡易な温度計で約29.5℃と前回と同じぐらいの値を指していました。
今回の観察では、前回の観察に比べ、サンゴの枝の一部が死んでいるものが
多くあったように感じました。
以下にいくつかのサンゴで解説します。

サンゴ全体が傷んでいて藻類が付着しています。
 

枝の先端のポリプは死んでいますが、白化しても頑張っているポリプもあります。
 

陰になっている部分や枝の根元のポリプは褐虫藻が残っているようにも見えます。
 
 
中には白化しておらず、元気そうに見えるサンゴがところどころにありました。
気持ちの上で救われます。


今回はサンゴに絡みついた釣り具の回収もしましたのでその様子をご紹介します。
最初は、白化したサンゴに釣り糸が絡みついている様子です。
釣り糸がポリプを傷つけてしまいます。
 

サンゴに釣り糸が絡むと、釣り糸に藻類が生え、さらに、流れてきたゴミなどが絡み付く場合があります。
サンゴは次第に弱り、やがて死滅してしまいます。
釣り糸と一緒に絡んでいるのは、ビニール紐です。海藻のようにゆらゆら揺れてポリプを傷つけます。


中には、釣り糸ごと取り込んで成長しようとするサンゴもあります。
人工物を取り込んで大丈夫なのでしょうか。


サンゴから釣り糸を外している様子です。ポリプを傷つけないように慎重に行うので、
一つのサンゴから全て取り除くのに15分以上かかります。
潮のながれやうねりがあるときはできません。


水中から見た海面がきれいです。


白化したサンゴを撮影し、また釣り糸を回収しながら、生きものたちの姿を撮影しました。
最初はサンゴの間から顔をだしているギンポの仲間です。表情に癒やされます。


岩の間からもヤエヤマギンポが顔を出しています。
私の動きを注視しています。


サンゴの上にヤドカリがいます。傷んだサンゴに付いた藻類をつまんで食べています。
サンゴの一部が死んで、そこに生えた藻類が他の生きものの食べ物になる。自然界に
無駄になるものはないように思います。


ウニの仲間が海底を移動中です。ウニがカムフラージュのために着けている金属の蓋が
気になりました。


ヤドカリが空き家を見つけたようです。慎重に見定めています。


ナマコがゆっくり移動しています。


毎年夏になるとサンゴの白化が気になります。この先、温暖化や海の酸性化が
サンゴや生きものにどのような影響を与えるのか心配です。
その上、政治的な問題やリゾート開発により自然(地球=私たちのお家)を壊し続けています。
問題の根は深そうです。

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