2008年12月31日
曇天の海
今日は,曇天。干潮は,午後です。
イノーは静かですが,リーフの辺りは白波が立っています。
イノーの透明度は良好ですが,水はいつもより冷たく感じました。
今日は,水道部へ向かいます。
潮は止まっているので,流れはありません。
でも,まもなく満ち潮が始まりイノーに押し返される強い流れが
できるでしょう。
最初にやって来たのは,ミツボシキューセンくんでした。
私を怖がらずに1メートル以内を泳ぎます。


「有光さん,こんにちは。今日は年の暮れですが,何かおいしいものを持って
いませんか?持っていたら少し分けてもらえませんか?」と目で訴えてきます。
「すみません。今日も何も持っていないのです。」と心で訴えると
「また来年お願いしますよ!」というように何処かへ泳ぎ去っていきました。
岩棚の下を覗いてみると,やや大きめのオコゼがいました。
1.5メートルの岩棚の下なので,いつも装着している浮き袋のヒモを外し
近くの岩礁に預け身軽になりました。
呼吸を整え「せぇーの!」で一気に岩棚の下へ潜行し手でつかむ岩を決め
身体を固定してから,カメラの位置を決めます。
落ち着いたら,シャッターを切りますが,ここまで時間を使っているので
2.3枚切る時間しか残っていません。脱出する時間も要ります。


撮れても撮れなくても,離脱します。
撮れるまで,10回ぐらい繰り返したでしょうか。
オコゼは,岩棚の奥の暗いところに居るため,手ぶれを起こす(フラッシュは無し)
ので,しっかりカメラを固定するのがポイントです。
それに時間がかかり,何度もチャレンジすることになりました。
相手は猛毒を持った魚です。慎重に接近します。
オコゼの目は,少し濁っていました。普通少し赤い目をしているのですが
白っぽく見えました。大きさも25㎝はあります。
ひょっとするとかなりの高齢なのかもしれません。
何枚かの顔を撮りました。
岩棚を離れ,岩礁づたいに沖へ向かいます。
目に止まったのは,ウツボの散歩?です。
散歩というよりも,お食事のようです。
岩の下から下へと頭をつっこんで,獲物を探しているようです。
昼間から外出してもいいのでしょうか。曇天で薄暗い海中は,まるで月夜の
様な明るさなのかもしれません。
小さなサンゴもポリプの触手をいっぱいに伸ばしています。
ウツボと目が合いました。ドキッとしたのか,一瞬止まりました。
「し,しまった!」という表情です。

固まっていましたが,やがてスルスルと移動し適当な穴を見付けて逃げ込みました。
そこから顔だけ出してこちらを伺っていました。
普段よく見るおとなしいウツボです。

誰かに観察されているような気がして,砂地に目を落とすと,やはりいました。
「オグロトラギス」さんでした。好奇心の強い魚です。
こちらの様子を興味深そうに見守っています。
カメラを近づけると海底を滑るように平行移動して,またこちらを見ています。
なかなか正面の顔を撮影するのは難しい魚です。

もう一人子どもの「ダンダラトラギス」が,こちらを見ています。
慎重に近づいて行き,シャッターを切ります。
逃げないようです。トラギスは好奇心の強い魚たちですが,性格には個体差が
あるようです。目の前のトラギスは,怖さよりも好奇心が強いのか
じっとしていましたので,カメラを至近距離まで近づけることが出来ました。

もっと近づいて撮ろうとしたら岩の下へ逃げ込んでしまいました。残念。
砂地の海底には,「エソ」もよく見かけます。
エソは獲物がやってくるまで,じっとして動かず辛抱強く待っています。

正面から近づいても逃げないので,まず近くの海底に潜行し岩をつかみながら
じわじわと正面に近づきます。

顔は無表情です。どうやら夫婦のようです。
二匹が寄り添っています。
獲物を捕獲するときの彼らは,非常に敏捷です。
狩りは一瞬です。
先日も,近所の海で,その瞬間を目撃しました。
でも,この狩りには私が一枚絡んでいます。
私が魚を撮影しようと潜行した時,周囲の魚が驚いて散りました。
その瞬間を狙い,「エソ」が獲物に飛びついたのです。
なんと,口には「ヤエヤマカエルウオ」の子どもをくわえています。
私は,しまったと思いました。
私の動作に乗じて狩りが行われたのです。しかも,獲物が子どもの魚です。
私は怒りと後悔に満ちていました。
魚を放せ!と手でつかもうとするのですが,当然逃げられます。
必死で追いかけましたがとうとう逃げられしまいました。
私はかなりショックでした。
大げさですが2日間気分が乗らず,かわいそうなことをしたと悔やんでいました。
「ヤエヤマカエルウオ」の子どもを見るたびにそのことを思い出します。
胸が締め付けられるようです。
「2時間ぐらい経ったでしょうか。そろそろ身体が冷えてきました。
帰ろうとすると,サンゴの上に魚の子どもが,ちょこんと乗っていました。
水道部は,満ち潮の流れが速くなっています。
周辺のサンゴを破壊しないように慎重に身体を支える位置を決めます。
そして,カメラを近づけていきます。
どうやら,逃げないようです。

でも,あまり接近すると不快なのか,少しばかりサンゴの上を移動し,
また,ちょこんとしています。




魚の20㎝ぐらいまでカメラを近づけることができたので良い写真を撮ることが出来ました。
今日の一番の収穫でした。



今日は,3時間ぐらい入っていたでしょうか。
陸に上がり親しい人たちと会話した後,帰路に着きました。
イノーは静かですが,リーフの辺りは白波が立っています。
イノーの透明度は良好ですが,水はいつもより冷たく感じました。
今日は,水道部へ向かいます。
潮は止まっているので,流れはありません。
でも,まもなく満ち潮が始まりイノーに押し返される強い流れが
できるでしょう。
最初にやって来たのは,ミツボシキューセンくんでした。
私を怖がらずに1メートル以内を泳ぎます。


「有光さん,こんにちは。今日は年の暮れですが,何かおいしいものを持って
いませんか?持っていたら少し分けてもらえませんか?」と目で訴えてきます。
「すみません。今日も何も持っていないのです。」と心で訴えると
「また来年お願いしますよ!」というように何処かへ泳ぎ去っていきました。
岩棚の下を覗いてみると,やや大きめのオコゼがいました。
1.5メートルの岩棚の下なので,いつも装着している浮き袋のヒモを外し
近くの岩礁に預け身軽になりました。
呼吸を整え「せぇーの!」で一気に岩棚の下へ潜行し手でつかむ岩を決め
身体を固定してから,カメラの位置を決めます。
落ち着いたら,シャッターを切りますが,ここまで時間を使っているので
2.3枚切る時間しか残っていません。脱出する時間も要ります。


撮れても撮れなくても,離脱します。
撮れるまで,10回ぐらい繰り返したでしょうか。
オコゼは,岩棚の奥の暗いところに居るため,手ぶれを起こす(フラッシュは無し)
ので,しっかりカメラを固定するのがポイントです。
それに時間がかかり,何度もチャレンジすることになりました。
相手は猛毒を持った魚です。慎重に接近します。
オコゼの目は,少し濁っていました。普通少し赤い目をしているのですが
白っぽく見えました。大きさも25㎝はあります。
ひょっとするとかなりの高齢なのかもしれません。
何枚かの顔を撮りました。
岩棚を離れ,岩礁づたいに沖へ向かいます。
目に止まったのは,ウツボの散歩?です。
散歩というよりも,お食事のようです。
岩の下から下へと頭をつっこんで,獲物を探しているようです。
昼間から外出してもいいのでしょうか。曇天で薄暗い海中は,まるで月夜の
様な明るさなのかもしれません。
小さなサンゴもポリプの触手をいっぱいに伸ばしています。
ウツボと目が合いました。ドキッとしたのか,一瞬止まりました。
「し,しまった!」という表情です。

固まっていましたが,やがてスルスルと移動し適当な穴を見付けて逃げ込みました。
そこから顔だけ出してこちらを伺っていました。
普段よく見るおとなしいウツボです。

誰かに観察されているような気がして,砂地に目を落とすと,やはりいました。
「オグロトラギス」さんでした。好奇心の強い魚です。
こちらの様子を興味深そうに見守っています。
カメラを近づけると海底を滑るように平行移動して,またこちらを見ています。
なかなか正面の顔を撮影するのは難しい魚です。

もう一人子どもの「ダンダラトラギス」が,こちらを見ています。
慎重に近づいて行き,シャッターを切ります。
逃げないようです。トラギスは好奇心の強い魚たちですが,性格には個体差が
あるようです。目の前のトラギスは,怖さよりも好奇心が強いのか
じっとしていましたので,カメラを至近距離まで近づけることが出来ました。

もっと近づいて撮ろうとしたら岩の下へ逃げ込んでしまいました。残念。
砂地の海底には,「エソ」もよく見かけます。
エソは獲物がやってくるまで,じっとして動かず辛抱強く待っています。

正面から近づいても逃げないので,まず近くの海底に潜行し岩をつかみながら
じわじわと正面に近づきます。

顔は無表情です。どうやら夫婦のようです。
二匹が寄り添っています。
獲物を捕獲するときの彼らは,非常に敏捷です。
狩りは一瞬です。
先日も,近所の海で,その瞬間を目撃しました。
でも,この狩りには私が一枚絡んでいます。
私が魚を撮影しようと潜行した時,周囲の魚が驚いて散りました。
その瞬間を狙い,「エソ」が獲物に飛びついたのです。
なんと,口には「ヤエヤマカエルウオ」の子どもをくわえています。
私は,しまったと思いました。
私の動作に乗じて狩りが行われたのです。しかも,獲物が子どもの魚です。
私は怒りと後悔に満ちていました。
魚を放せ!と手でつかもうとするのですが,当然逃げられます。
必死で追いかけましたがとうとう逃げられしまいました。
私はかなりショックでした。
大げさですが2日間気分が乗らず,かわいそうなことをしたと悔やんでいました。
「ヤエヤマカエルウオ」の子どもを見るたびにそのことを思い出します。
胸が締め付けられるようです。
「2時間ぐらい経ったでしょうか。そろそろ身体が冷えてきました。
帰ろうとすると,サンゴの上に魚の子どもが,ちょこんと乗っていました。
水道部は,満ち潮の流れが速くなっています。
周辺のサンゴを破壊しないように慎重に身体を支える位置を決めます。
そして,カメラを近づけていきます。
どうやら,逃げないようです。

でも,あまり接近すると不快なのか,少しばかりサンゴの上を移動し,
また,ちょこんとしています。



魚の20㎝ぐらいまでカメラを近づけることができたので良い写真を撮ることが出来ました。
今日の一番の収穫でした。



今日は,3時間ぐらい入っていたでしょうか。
陸に上がり親しい人たちと会話した後,帰路に着きました。
Posted by 有光智彦 at 06:16
│海の生きもの 10~12月
この記事へのコメント
こんばんは。
映画の「ニモ」のおかげで、クマノミが減ったと聞きました。
業者が乱獲したんですね。。。悲しいことです。
思うことがあります。
地球の生き物や資源、土地もそうですが、
それをお金に換える人の行為を、ど~しても理解することができません。。。
沖縄の観光土産とかも、さんごを拾って来て物を作り、それを売る。
拾われた貝殻さえ、ラッピングして金に変換されるんですよね。
ホントに自然とお金を結びつける心が荒んでます(T_T)
映画の「ニモ」のおかげで、クマノミが減ったと聞きました。
業者が乱獲したんですね。。。悲しいことです。
思うことがあります。
地球の生き物や資源、土地もそうですが、
それをお金に換える人の行為を、ど~しても理解することができません。。。
沖縄の観光土産とかも、さんごを拾って来て物を作り、それを売る。
拾われた貝殻さえ、ラッピングして金に変換されるんですよね。
ホントに自然とお金を結びつける心が荒んでます(T_T)
Posted by かなさ
at 2008年11月10日 22:16

さかな 様
コメントありがとうございます。
同感です。
自然界のものは誰のものでもないはずなんです。
土地もよく考えてみれば,地球上の土地を自分の所有だと
するのも変な気もしますね。
かなわぬ理想かもしれませんが
いつの日か,国境がなくなり,お互いの得意なことを生かし
みんなで協力して全地球が一つになる。
通貨も必要としない。土地も誰の者でもない。
そうなったらどんなに住みよい地球ができることか。
「ファインディング・ニモ」という映画の後,クマノミの人気が
出て,確かに良く売れました。
その分,海から捕獲してきたわけですね。
現在,量販店では一匹3000円ぐらいで売っています。
しかし,海水魚の飼育は簡単ではありません。
管理が非常に難しくお金がかかるのです。
管理が悪く,知識がないと直ぐ死んでしまいます。
金魚を飼う感覚ではとうてい無理なんです。
でも,ブームが過ぎるとそれっきりです。
日本は物質的に豊になりすぎて物あまりの状態です。
何でもブームはあっという間に過ぎて次に移ります。
量販店の水槽の中では,色あせた「カクレクマノミ」が
いつ売れるかわからないまま今も泳ぎ続けています。
コメントありがとうございます。
同感です。
自然界のものは誰のものでもないはずなんです。
土地もよく考えてみれば,地球上の土地を自分の所有だと
するのも変な気もしますね。
かなわぬ理想かもしれませんが
いつの日か,国境がなくなり,お互いの得意なことを生かし
みんなで協力して全地球が一つになる。
通貨も必要としない。土地も誰の者でもない。
そうなったらどんなに住みよい地球ができることか。
「ファインディング・ニモ」という映画の後,クマノミの人気が
出て,確かに良く売れました。
その分,海から捕獲してきたわけですね。
現在,量販店では一匹3000円ぐらいで売っています。
しかし,海水魚の飼育は簡単ではありません。
管理が非常に難しくお金がかかるのです。
管理が悪く,知識がないと直ぐ死んでしまいます。
金魚を飼う感覚ではとうてい無理なんです。
でも,ブームが過ぎるとそれっきりです。
日本は物質的に豊になりすぎて物あまりの状態です。
何でもブームはあっという間に過ぎて次に移ります。
量販店の水槽の中では,色あせた「カクレクマノミ」が
いつ売れるかわからないまま今も泳ぎ続けています。
Posted by 有光智彦
at 2008年11月12日 00:47
