2009年01月30日
泡瀬の今Ⅱ
泡瀬干潟の埋め立てが今月15日から始まりましたが,
2009年1月27日現在の泡瀬の海中の様子をお伝えします。
撮影場所は埋め立て現場から東へ1.5キロメートルの位置にある
「ヒメマツミドリイシ」のサンゴ群落です。
ここは,ちょうど一ヶ月前に撮影した場所です。
このブログの12月に一ヶ月前の画像をアップしています。
驚いたことに,僅か一ヶ月の間にサンゴがかなり死んでいました。
このままでは,一年以内に,この群落全てのサンゴが死滅するかも
しれません。
現在,埋め立てをしている区域は,ここ以上にサンゴが群生している
場所なのです。泡瀬に残るサンゴ礁は,無くなりつつあります。
死滅したサンゴの上を群れで泳ぐ空色の「デバスズメダイ」の群れは
とても哀れです。




海中の透明度はあいかわらず悪い。潮流は,湾全体を回っているので
埋め立て工事や航路浚渫工事による影響が顕著に表れているとみて
いいでしょう。日光は,サンゴの生育に必要不可欠なエネルギーです。
海中に漂う砂塵の影響で常に透明度が悪く日光が十分に射し込まない。
また,砂塵がサンゴに降り積もりダメージを与え続けている。
これでは,死滅しても不思議はないでしょう。
画像の灰色のところが死滅して時間が経過した部分,
白いところが死んだばかりの部分,
薄桃色の部分が生きているサンゴです。
この三色が入り乱れていますが,白い部分が一ヶ月前に比べ
増えているのです。




おそらく,このまま工事を続行すれば,泡瀬全体の生態系が完全に
崩れ去り,ヘドロが漂う死の海となるでしょう。
我々が排出した汚れた海水を常に浄化しているのは,海底に生きる
貝であり,ゴカイの仲間であるからです。
彼らが死滅するのも時間の問題です。
美しい沖縄の海がどんどん無くなっていく。泡瀬干潟が面する中城湾のほぼ
全域は護岸工事が行われ,埋め立てされて自然の海岸が残っている場所は
もうありません。泡瀬干潟が貴重な場所だったのです。
取り返しの着かないことに成る前に工事を今すぐ中止し,再度検討が
成されるべきです。
現在埋め立てが進められている第一期工事区画が完成すれば
工事はこれで終わって自然環境は維持されると思ったら大間違えです。
そこに立てられたホテルやレジャー施設から排出される下水は絶えず
泡瀬干潟に放出されます。浄化施設り処理能力は100%ではありません。
30%は処理しきれず,そのまま海へ流されるのです。
第一期工事区画の護岸が造られてからは潮の流れが変化し既に
生態系に大きく影響を与えています。
自然が何千年もの間造り上げてきた自然を僅か数年でがれきの山と
してしまう人間の愚かさ。
他の生きものの命の尊さも考えずに抗議できない彼らを一方的に
殺す人間の愚かさ。
昨年来島した妹が言っていました。
「沖縄って空から見ると埋め立て地ばかりだね」と。
西海岸はリゾートホテルと人工ビーチ。
東海岸もコンクリートの護岸と工場,埋め立て地。
南部は,ゴルフ場があちこちにあり,生活の水だった湧き水は農薬(除草剤)で
汚染され飲めません。
北部は,米軍ヘリ基地と演習場。
沖縄は,ほんとうに自然が豊かな島なのでしょうか。
本土で生活していた頃,沖縄は自然豊な島だと思っていました。
今,島で生活してみて,それが間違えだったと知りました。
自然の残っている場所はほとんどありません。
自然を求めてくる人はがっかりすることでしょう。
それでも本土よりは自然が残っていますが。
それも,泡瀬のような豊かな自然を破壊してしまう国,県,市の
方針では,この先残された自然は守れないでしょう。
第一期工事区画の陸側のゲートからは,毎日毎日,朝から晩まで
ダンプカーが泥と石を運び入れています。すごい数です!!。
今しかない。という勢いです。
このダンプ,一杯一杯の土砂が魚やヤドカリやサンゴを生き埋めにして
毎日何千,何万という「命」を殺しているのです。
埋め立ての現場の海中を見れば逃げまどう彼らの悲鳴が聞こえるはずです。




下の画像は泡瀬の海中で撮影した生きものたちです。
汚れた水の中でも,暮らしています。
人間の様に,泡瀬が嫌いだから名護に引っ越しすることはできないのですから。




次第に失われていく泡瀬の海。破壊されたらもう二度と美しい海には戻らない。
私たちの子孫は,ヘドロの海を見てどう思うでしょうか。
先人たちの仕業をどう評価するのでしょうか。

2009年1月27日現在の泡瀬の海中の様子をお伝えします。
撮影場所は埋め立て現場から東へ1.5キロメートルの位置にある
「ヒメマツミドリイシ」のサンゴ群落です。
ここは,ちょうど一ヶ月前に撮影した場所です。
このブログの12月に一ヶ月前の画像をアップしています。
驚いたことに,僅か一ヶ月の間にサンゴがかなり死んでいました。
このままでは,一年以内に,この群落全てのサンゴが死滅するかも
しれません。
現在,埋め立てをしている区域は,ここ以上にサンゴが群生している
場所なのです。泡瀬に残るサンゴ礁は,無くなりつつあります。
死滅したサンゴの上を群れで泳ぐ空色の「デバスズメダイ」の群れは
とても哀れです。

海中の透明度はあいかわらず悪い。潮流は,湾全体を回っているので
埋め立て工事や航路浚渫工事による影響が顕著に表れているとみて
いいでしょう。日光は,サンゴの生育に必要不可欠なエネルギーです。
海中に漂う砂塵の影響で常に透明度が悪く日光が十分に射し込まない。
また,砂塵がサンゴに降り積もりダメージを与え続けている。
これでは,死滅しても不思議はないでしょう。
画像の灰色のところが死滅して時間が経過した部分,
白いところが死んだばかりの部分,
薄桃色の部分が生きているサンゴです。
この三色が入り乱れていますが,白い部分が一ヶ月前に比べ
増えているのです。


おそらく,このまま工事を続行すれば,泡瀬全体の生態系が完全に
崩れ去り,ヘドロが漂う死の海となるでしょう。
我々が排出した汚れた海水を常に浄化しているのは,海底に生きる
貝であり,ゴカイの仲間であるからです。
彼らが死滅するのも時間の問題です。
美しい沖縄の海がどんどん無くなっていく。泡瀬干潟が面する中城湾のほぼ
全域は護岸工事が行われ,埋め立てされて自然の海岸が残っている場所は
もうありません。泡瀬干潟が貴重な場所だったのです。
取り返しの着かないことに成る前に工事を今すぐ中止し,再度検討が
成されるべきです。
現在埋め立てが進められている第一期工事区画が完成すれば
工事はこれで終わって自然環境は維持されると思ったら大間違えです。
そこに立てられたホテルやレジャー施設から排出される下水は絶えず
泡瀬干潟に放出されます。浄化施設り処理能力は100%ではありません。
30%は処理しきれず,そのまま海へ流されるのです。
第一期工事区画の護岸が造られてからは潮の流れが変化し既に
生態系に大きく影響を与えています。
自然が何千年もの間造り上げてきた自然を僅か数年でがれきの山と
してしまう人間の愚かさ。
他の生きものの命の尊さも考えずに抗議できない彼らを一方的に
殺す人間の愚かさ。
昨年来島した妹が言っていました。
「沖縄って空から見ると埋め立て地ばかりだね」と。
西海岸はリゾートホテルと人工ビーチ。
東海岸もコンクリートの護岸と工場,埋め立て地。
南部は,ゴルフ場があちこちにあり,生活の水だった湧き水は農薬(除草剤)で
汚染され飲めません。
北部は,米軍ヘリ基地と演習場。
沖縄は,ほんとうに自然が豊かな島なのでしょうか。
本土で生活していた頃,沖縄は自然豊な島だと思っていました。
今,島で生活してみて,それが間違えだったと知りました。
自然の残っている場所はほとんどありません。
自然を求めてくる人はがっかりすることでしょう。
それでも本土よりは自然が残っていますが。
それも,泡瀬のような豊かな自然を破壊してしまう国,県,市の
方針では,この先残された自然は守れないでしょう。
第一期工事区画の陸側のゲートからは,毎日毎日,朝から晩まで
ダンプカーが泥と石を運び入れています。すごい数です!!。
今しかない。という勢いです。
このダンプ,一杯一杯の土砂が魚やヤドカリやサンゴを生き埋めにして
毎日何千,何万という「命」を殺しているのです。
埋め立ての現場の海中を見れば逃げまどう彼らの悲鳴が聞こえるはずです。
下の画像は泡瀬の海中で撮影した生きものたちです。
汚れた水の中でも,暮らしています。
人間の様に,泡瀬が嫌いだから名護に引っ越しすることはできないのですから。




次第に失われていく泡瀬の海。破壊されたらもう二度と美しい海には戻らない。
私たちの子孫は,ヘドロの海を見てどう思うでしょうか。
先人たちの仕業をどう評価するのでしょうか。
Posted by 有光智彦 at 10:54
│海 泡瀬干潟
この記事へのコメント
お久しぶりです。
沖縄でもインフルエンザが流行しているようですね。
以前、風邪をひかれたとのことでしたが、
その後は体調を崩されていませんでしょうか?
コメントさせていただくのは、本当に久しぶりです。
ここ最近は携帯の方で拝見しておりますが、
コメントができずに申し訳ないです。
先日、テレビ朝日にて沖縄の基地問題・環境問題(泡瀬埋め立て)に関して討論されておりました。
私も、泡瀬については国の対応(強行ですが…)に
疑問を抱いています。
リゾート化されれば、収入も増えるという賛成派・環境
破壊を訴える反対派がありますが、沖縄の地元の方の
捉えかたを幅広く知りたいと思います。
また、自分の目で泡瀬の現状を見てみたいという思い
に駆られました。
内地でできることは限られているかもしれませんが、
以前の記事でご紹介いただいた署名を募るサイトにて、私も参加してみようと考えています。
わずかな力かもしれませんが、可能性は「ゼロ」という
ことはないでしょうから。
写真を拝見すると、サンゴの状態が悪化していますね…。
言葉は話せないにしても、命あるものを「生き埋め」にしていることは事実です。
大自然に比べたら、ヒトの力など僅かなものでしかないですが、それでも、指をくわえて埋め立ての成り行きを見ていろ、なんてことは非常に心苦しく、
見てみぬふりはできません。
内地では、有光さんがおっしゃっているように、沖縄の現状を知る機会がほとんどありません。
私も、有光さんのブログを通して泡瀬の危機を
知りました。
テレビで報道されるにしても、観光的な要素であったり、基地問題などの一部の問題(基地問題も、非常に重要な課題ですが)のみしか知ることができず、
国と沖縄の市町村の関係・しがらみ、県民の思いが
メディアに出てくることは非常に少ないと感じています。
沖縄で暮らしていた2ヶ月があったからこそ、内地には沖縄に関する情報が少ないことを実感いたしましたし、内地の方に現状を知っていただくには「とんとんみー
通信」が、とても大切な役割を担っている、と
感じております。
私にとっても「とんとんみー通信」は、沖縄を知る貴重な情報源です。
私も、泡瀬のできごとを知って「もっと探究心を持たなければ!」と、あらためて思い知らされました。
今後も、有光さんのブログを頼りにしております。
暖かいとはいえ、感染症が流行している時節柄、
ご自愛くださいませ。
長くなってしまって、すみません。
追伸 先日お送りしました荷物、無事に届きました
でしょうか?
楽しんでいただけましたら幸いです。
沖縄でもインフルエンザが流行しているようですね。
以前、風邪をひかれたとのことでしたが、
その後は体調を崩されていませんでしょうか?
コメントさせていただくのは、本当に久しぶりです。
ここ最近は携帯の方で拝見しておりますが、
コメントができずに申し訳ないです。
先日、テレビ朝日にて沖縄の基地問題・環境問題(泡瀬埋め立て)に関して討論されておりました。
私も、泡瀬については国の対応(強行ですが…)に
疑問を抱いています。
リゾート化されれば、収入も増えるという賛成派・環境
破壊を訴える反対派がありますが、沖縄の地元の方の
捉えかたを幅広く知りたいと思います。
また、自分の目で泡瀬の現状を見てみたいという思い
に駆られました。
内地でできることは限られているかもしれませんが、
以前の記事でご紹介いただいた署名を募るサイトにて、私も参加してみようと考えています。
わずかな力かもしれませんが、可能性は「ゼロ」という
ことはないでしょうから。
写真を拝見すると、サンゴの状態が悪化していますね…。
言葉は話せないにしても、命あるものを「生き埋め」にしていることは事実です。
大自然に比べたら、ヒトの力など僅かなものでしかないですが、それでも、指をくわえて埋め立ての成り行きを見ていろ、なんてことは非常に心苦しく、
見てみぬふりはできません。
内地では、有光さんがおっしゃっているように、沖縄の現状を知る機会がほとんどありません。
私も、有光さんのブログを通して泡瀬の危機を
知りました。
テレビで報道されるにしても、観光的な要素であったり、基地問題などの一部の問題(基地問題も、非常に重要な課題ですが)のみしか知ることができず、
国と沖縄の市町村の関係・しがらみ、県民の思いが
メディアに出てくることは非常に少ないと感じています。
沖縄で暮らしていた2ヶ月があったからこそ、内地には沖縄に関する情報が少ないことを実感いたしましたし、内地の方に現状を知っていただくには「とんとんみー
通信」が、とても大切な役割を担っている、と
感じております。
私にとっても「とんとんみー通信」は、沖縄を知る貴重な情報源です。
私も、泡瀬のできごとを知って「もっと探究心を持たなければ!」と、あらためて思い知らされました。
今後も、有光さんのブログを頼りにしております。
暖かいとはいえ、感染症が流行している時節柄、
ご自愛くださいませ。
長くなってしまって、すみません。
追伸 先日お送りしました荷物、無事に届きました
でしょうか?
楽しんでいただけましたら幸いです。
Posted by しおり at 2009年02月04日 02:42
しおり 様
こんばんは。
小包,確かに受け取りました。
しばし,手を止め海の音楽と写真を楽しみました。
ありがとうございました。
沖縄だけではなく,日本国内の豊かな自然はほとんど無いといっても
よさそうです。外国も経済発展の続く国では同様の傾向にあります。
この地球上からあらゆる美しい自然が消滅する日が来るのかも
しれませんね。
「自然とは何か」を考えたとき,それは,「いきものの命の営み」だと
私は思います。人間が他の生きものを尊重し同じ命の重さを謙虚に
受け入れたとき,自然再生への歩みが始まるのだろうと思います。
でも,それには,多大な時間がかかるでしょう。
人々の考え方から変えなくてはなりません。
それは,子どもの時からの教育が大切です。
現在の一般的な生きものに対する認識では,とうてい自然を守る
ことはできません。
足下に這うアリをもいたわるやさしい心根を育てなければなりません。
私個人としては,動物園も水族館も熱帯魚の水槽も,全て動物虐待
の思想に直結していると考えています。
生きものの本当の姿や生態は,彼らが生きる大きな自然界の中でのみ
かいま見ることができるものだと思います。
あらゆる生命体を尊重するならば,思いやる気持ちを持つならば
これらの施設が偽物であり,不必要なものであることがわかると思います。
この問題は,過去30年以上前から提言されています。
しかし,現在でも一般的なものの考え方の範中に含まれている。
自然保護も,動物園の考え方も,同じベースの上に立っていると思います。
人々の認識が変化するには,後数十年はかかるでしょう。
もしかすると,変わっていないかもしれない。
その認識のあり方を変えていきたいと思います。
言うのは簡単ですが実行は困難を伴います。
地道にやる他はなさそうです。
しおりさん,長いコメントありがとうございます。
これからも応援,どうぞよろしくお願いします。
インフルエンザ予防には,帰宅後に泡盛か焼酎をほんのわずか喉に浸透
させると効果がありますよ。笑。どうぞおためしあれ。
こんばんは。
小包,確かに受け取りました。
しばし,手を止め海の音楽と写真を楽しみました。
ありがとうございました。
沖縄だけではなく,日本国内の豊かな自然はほとんど無いといっても
よさそうです。外国も経済発展の続く国では同様の傾向にあります。
この地球上からあらゆる美しい自然が消滅する日が来るのかも
しれませんね。
「自然とは何か」を考えたとき,それは,「いきものの命の営み」だと
私は思います。人間が他の生きものを尊重し同じ命の重さを謙虚に
受け入れたとき,自然再生への歩みが始まるのだろうと思います。
でも,それには,多大な時間がかかるでしょう。
人々の考え方から変えなくてはなりません。
それは,子どもの時からの教育が大切です。
現在の一般的な生きものに対する認識では,とうてい自然を守る
ことはできません。
足下に這うアリをもいたわるやさしい心根を育てなければなりません。
私個人としては,動物園も水族館も熱帯魚の水槽も,全て動物虐待
の思想に直結していると考えています。
生きものの本当の姿や生態は,彼らが生きる大きな自然界の中でのみ
かいま見ることができるものだと思います。
あらゆる生命体を尊重するならば,思いやる気持ちを持つならば
これらの施設が偽物であり,不必要なものであることがわかると思います。
この問題は,過去30年以上前から提言されています。
しかし,現在でも一般的なものの考え方の範中に含まれている。
自然保護も,動物園の考え方も,同じベースの上に立っていると思います。
人々の認識が変化するには,後数十年はかかるでしょう。
もしかすると,変わっていないかもしれない。
その認識のあり方を変えていきたいと思います。
言うのは簡単ですが実行は困難を伴います。
地道にやる他はなさそうです。
しおりさん,長いコメントありがとうございます。
これからも応援,どうぞよろしくお願いします。
インフルエンザ予防には,帰宅後に泡盛か焼酎をほんのわずか喉に浸透
させると効果がありますよ。笑。どうぞおためしあれ。
Posted by 有光智彦 at 2009年02月05日 01:03