2012年09月27日

泡瀬干潟の写真展

沖縄本島の中部に位置する沖縄市泡瀬3丁目に
『泡瀬干潟博物館カフェ・ウミエラ館』というお店があります。
そのお店は、泡瀬干潟を一望できる海沿いにあります。
お店の窓は大きなガラスが使われているので視界は抜群です。
店内に双眼鏡やバードウオッチングに使う望遠鏡も常時置いてあるので
自由に見ることができます。
店長は退職金をなげうって高い賃貸料を払いながら奥さんと
経営を続けています。
高い賃貸料を払ってでも、泡瀬干潟のすばらしさを伝えるには
最良の場所だとの考えに基づいているのだと思います。
店長は、トトロのような感じの方で、人にも小さな生きものたちにも
同じ優しさの眼差しを向けられる人です。
そのような店長の想いがいっぱいいっぱい詰まったお店です。

『泡瀬干潟博物館カフェ・ウミエラ館』http://umierakan.ti-da.net/

今回、ウミエラ館は店内を一部改装し、常設展示している泡瀬干潟の
貝を更に増強してリニューアルオープンしました。
それを記念して『泡瀬干潟展』を開催しています。

泡瀬干潟の写真展泡瀬干潟の写真展

泡瀬干潟には約360種という凄い種類の貝類が生息しているようですが、
展示の貝類は、貝類研究ではトップレベルの方の協力を得ているそうです。
その他、写真家・小橋川共男さんの泡瀬干潟の生きものたちの写真も
常設展示しています。
ゆっくりと泡瀬干潟を眺めながらのコーヒータイムは大切な何かを思い出させて
くれるはずです。きっと。

今回、店長のご厚意により、私の撮影した泡瀬干潟の写真も展示して
いただけることになり、9月23日から展示しています。
展示期間は今のところお店の事情で未定ですが、おそらく一ヶ月以内です。
展示枚数は私のが23枚、妻が撮影した写真が8枚の合計31枚です。
写真は、2007年頃撮影したものから順次時系列に並べています。
写真の内容は泡瀬に生きている生きものたちが中心ですが、埋立のために
埋立外に強制移住させられたサンゴたちの現状も見て頂ければと2枚を
選びました。写真から今でも多くの生きものたちの営みがあることを
知って頂ければと思います。

写真に写っている生きものたちは、まさにウミエラ館の前に拡がる海に
確かに実存しているのです。
この海は無数の生きものたちの生命の拠り所です。
これから始まるマリーナ建設のため、彼らの大切な生息地に
工事機械が入ります。生命の拠り所であり、泡瀬干潟でも貴重種が生息する
最も重要な海域が破壊されようとしています。
生きものたちの生命は、とうとう存続ギリギリのところまで
追い詰められようとしています。
泡瀬干潟の埋め立て問題は、直接関係が無いとしても、私たちも人間である以上、
一人ひとりの問題として熟考する必要があるのではないでしょうか。


以下の写真は今回の写真展には展示していませんが、最近の写真も
含めていますのでご覧になって頂ければと思います。
写真をクリックすると少し大きくなります。


泡瀬干潟の写真展
ミナミコメツキガニの皆さんです。2010年9月撮影
干潟は生きものたちのものです。


泡瀬干潟の写真展
潮溜まりもなんのその‥。2010年9月撮影


泡瀬干潟の写真展
ミナミコメツキガニは、こんなカニです。なんと歩き方は横歩きではなく、
正面を向いて全身します(バックオーライは苦手なようです)。
2010年9月撮影


泡瀬干潟の写真展
ミナミコメツキガニの赤ちゃんです。
2ミリぐらいでしょうか。2010年3月撮影


泡瀬干潟の写真展
ヒトデたちも元気です。2011年4月撮影


泡瀬干潟の写真展
沖縄ではスクと呼ばれるアイゴの稚魚たちです。
泡瀬干潟の沖にあるヒメマツミドリイシというサンゴ群落で撮影
しました。そこはサンゴと海草が一緒に生息する泡瀬ならではの
環境なのです。アイゴたちは、好物の藻類を一所懸命食べています。
2010年6月撮影


泡瀬干潟の写真展
写真に写っているのは5ミリぐらいの貝類ですが、まわるように
泳いで移動します。脚を上手に使っているのでしょうか。
おもしろい貝です。2012年3月撮影


泡瀬干潟の写真展
干潮で干出した砂地に見える模様は、カニたちの巣穴とご飯を食べたカスの
砂団子です。広大な砂地に無数に見える穴と団子……。
これだけ無数のカニたちが暮らしているのです。2010年8月撮影


泡瀬干潟の写真展
何だかわかりますか?笑。
目の部分がスナジャワン、口の部分がナマコです。
偶然見つけた干潟の笑顔(怒っている顔ではなさそうです)です。
いつまでも笑顔でいてほしいものです。2011年4月撮影


泡瀬干潟の写真展
2012年4月撮影

小さな生きものたちの生命の輝きと営みは、この泡瀬干潟という場所で
数千年、数万年と続いてきたものです。
それを人間は数年で破壊しようとしています。
破壊すると二度と復元することはできません。
地球上の場所の本来あるべき姿を正しく維持していく責任が、
今を生きる世代にあると思います。そして同じく次の世代にも。



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Posted by 有光智彦 at 23:57 │海 泡瀬干潟
この記事へのコメント
有光さん こんばんは。
ウミエラ館の館長 先日、初めてお会いしました。
ほんとにトトロみたい(笑)

有光さんのような写真を撮ってみたく、今年の夏、コンパクトなデジカメだけど、水中でも獲れるカメラを購入しました。大嶺海岸で使ってみたく計画したんだけど、台風で海に入れませんでした。ウミエラ館の館長のトトロ氏に、泡瀬でも、貴重なサンゴが見える場所があるとお聞きして、ぜひ海の中を覗いてみたくなりました。

この海が、守られることとても願っています。
Posted by おきなべおきなべ at 2012年10月03日 22:35
 有光智彦 様

 ご無沙汰しております。牟田口です。沖縄での益々のご活躍をたまにとんと

みー通信にて拝見させて頂いております。




 現在,船は昨年3月より新船となりました。有光さんが,ご愛用されました船

は,現在オマーンにて第2の人生を活躍中です。


 ところで,大変お忙しい中とは思いますが,1度メールを頂きたくコメントを

いたしました。


 突然のコメントとご要望でご迷惑と失礼をおかけ致しますが宜しくお願いい


たします。


                                      牟田口 健夫
Posted by 牟田口 健夫 at 2012年10月07日 23:06
おきなべ 様

こんばんは。
コメントありがとうございます。
来沖していたのですね。
ここ数日は北東の風が強く東側の海は時化ていたと
思います。
大嶺海岸は、夏の昼間、大潮の日は沖の方まで引きますので、
その時が良いかと思います。
瀬長島から沖のリーフエッジまで徒歩で1時間半です。
どなたか大嶺を良く周知した人に案内を頼んだらいいと思います。
と申しますのも、潮が満ち始めると、岸とリーフの真ん中辺りから
潮がせまるので沖に取り残される可能性があるそうです。
夏の大潮なら干潮のピークを挟んで前後2時間は安全に
観察できるかと思います。
大嶺は海草藻場あり、サンゴありのおもしろそうな海です。
私は残念ですが、2度ほどしか見ていません。

水中カメラを買われたとのこと、とても楽しいので
やみつきになるかもしれません。笑。

ウミエラ館へも行かれたとのこと、とても嬉しく思います。
写真も見て頂きまして、本当にありがとうございました。

本島のどこかでお会いするかもしれませんね。
どうぞこれからもよろしくお願い致します。
Posted by 有光智彦 at 2012年10月09日 22:17
牟田口 健夫 様

こんばんは。
ほんとうにお久しぶりです。
お元気ですか。

船は遠いところで第2の人生を歩んでいるのですね。
縁があったら、出逢うことがあるかもしれません。
いろいろな想いでがありますね。

退職して5年目です。
現在は妻と二人で働きながら生活を維持し、
海の活動を続けています。
妻と力を合わせて海を守る活動に全力を傾けたい
気持ちでいっぱいですが、一日も早くそうなれるように
希望だけは持ち続けています。

ご連絡、ありがとうございます。
これからもどうぞよろしくお願い致します。
Posted by 有光智彦 at 2012年10月09日 22:29