2011年03月17日

サンゴの被度

事業者である県行政は,この小さな海をサンゴの被度0から5%で
サンゴは少ない海で,他にもあるから埋めてもいいという判断を下しました。

しかし,私が東江の小さな海で紹介してきた生きものたちは,
このおおざっぱな算定には一匹たりとも加味されてはいません。
無数の生きものの命をサンゴの被度で換算し判定することが,いかに
人間本位な考え方に基づいているかがわかります。

また,この被度という算定方法では全く見えていない現実があります。

それは,例えば護岸沿いの最も条件の良くない環境の岩の表面約25㎡
(5m×5m)の範囲には,およそ140個のサンゴの個体が生きています。
さらに2メートルの同心円まで範囲を広げてカウントすると260個もの
サンゴを数えることができました。また,この範囲で素人目にも
およそ15種類の違ったタイプのサンゴを確認することができるのです。

被度とは調査の統一的な基準ですが,詳細には被度では表すことの出来ない
実際があるということだと思います。

この埋められる予定の小さな海の大きさは約230m×80mですので,
18400㎡です。

かなり強引な計算ですが25㎡で140個のサンゴがあるとしたら,
計算上は全体で103040個体のサンゴがあることになります。
桁違いの数値なので,計算した私も疑問ですが,実際に数えてみれば
わかることです。
もちろん時間は掛かり,また不正確かもしれませんが,
すべての岩礁のサンゴをカウントすることも
範囲がそれほど大きくないので可能です。

沖縄県は,サンゴの移植事業に本格的に介入を始めました。
今から多大な費用をかけて30000本を植え付けるそうです。

東江の小さな海に存在しているかもしれないサンゴの総数と比較
してみれば,小さな海を残す方がどんなに効率がよいか
わかるかと思います。

沖縄県はサンゴの海を再生させようと移植事業を推進する一方で,
あちらこちらでサンゴが生息する海を埋め立てている事実を
どう説明するのでしょうか。

おそらく,東江の海の中以上にサンゴ礁生態系が豊かな海域を
たくさん埋めてきているのです。

今から埋める海を写真に撮影し,みんなに公開すれば,
そこがどんな海なのかを知ることができます。
事業者は,そういう伝え方をしていないので,
地もとの人たちは全く海の中がどうなっているのか知らないのです。
知れば行政の裁量のみで埋めることがいかに無謀なことなのか
理解することができると思います。

日本全国,海に入り撮影することができる人たちが,地もとの海の
様子をブログなどで公開することが大切だと思います。

それは海だけではなく山でも川でも同じです。

開発される前にできるだけたくさんの情報を発信することが,
大切です。それが生きものへの負担を考えていない開発のあり方を
変えることにつながると思います。

みんなが知って意見を述べれば,生きものたちのことを考えた開発を
しなければならなくなります。

写真の技術など不要です。伝えたいものが伝えられるのなら
たとえ35万画素のカメラでもかまわないのです。
それで十分です。あとは自身の自然界や生きものに対する思いが
自然と写真に繁栄されているはずです。


名護湾はまだ生きています。その証拠に海岸には微細な貝類が
打ち上がります。
写真をクリックすると大きくなります

サンゴの被度サンゴの被度

海が汚れていればこのような貝殻は見られなく
なります。海を保全していけばサンゴ礁生態系は再生されて
いくでしょう。でも,それには時間がかかります。
ねばり強い取り組みも必要です。
そのようなことを一緒に考えていけたらと思います。

サンゴの被度


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Posted by 有光智彦 at 15:30 │名護市東江 人工海浜